「老後に2000万円必要」と騒がれ始めたのは昨年の5月。発端は、高齢社会における資産形成・管理と金融サービスのあり方について、金融庁の金融審議会で取りまとめられた報告書でした。しかしその一節が思わぬ形で切り取られ、年金問題として取り上げられるようになってしまいました。

例えば、1世帯当たりの平均的な消費支出が月25万円と聞いて、手取り収入20万円そこそこの新社会人が「5万円足りない!」と不安がる必要があるでしょうか?また、大学に通う2人の子どもに仕送りをしている家庭が「うちは月30万円収入があるから大丈夫!」と言えるでしょうか?

平均値をそのまま自分の家計に当てはめてもあまり役に立たないことは、少し考えればわかりそうなことです。しかし金融審議会の報告書では、まさに平均値から導き出された「2000万円」が問題としてクローズアップされました。年金が絡んでくると、思考停止してしまったり、不安や不満を持つ人たちがたくさんいるようです。

その原因は、自分の老後にいくらお金がかかり、いくら収入が入ってくるのかをイメージできていないことにあります。だから平均値でも何でも具体的な金額を示されるとそれをベースに考えてしまう。しかし本来考えるべきは、当たり前ですが、自分の老後に必要なお金がいくらで、それをどう確保していくかということです。

そうした「自分だけの答え」を見つける手助けとなりそうなのが、本日2020年4月27日発行のこちらの本です。


先日、編集者の方より恵贈いただき、一通り読み終えたところです。構成は以下のようになっています。
  1. お金に困らない人生のルール
  2. 私の年金、「答え」をください!
  3. 「老後のお金」年代別TO DOリスト
  4. iDeCoとつみたてNISAで「じぶん年金」
  5. 年金を増やせる!受け取り方と働き方
  6. 「年金不安」でカモられないために知っておくべきこと
とくに第2章では、「シングル」「共働き」などの9つのケースについて、働き方に応じた具体的な年金額の例が載っています。厚生年金については年収と勤続年数別の早見表も掲載されています。これを見るだけでも、年金はライフスタイルや働き方によって人それぞれであることがわかります。

そして、自分自身で年金の上乗せができる方法として、代表的な積立手段であるiDeCoとつみたてNISAの活用、そして繰下げ受給など国の年金を増やす方法についても紹介されています。会社員の人に対して私が付け加えるとするなら、自分の会社の退職金や企業年金の中身を知っておくこと、もし企業型確定拠出年金のマッチング拠出があるならそれを活用すること、の2つです。

どれだけ具体例を示されても、それがそのままぴったり自分に当てはまるとは限りません(自分専用のプランを提示してほしければ、信頼できるファイナンシャルプランナー等に個別に相談しましょう)。重要なのは、正しい知識を身に付けて不正確な情報に惑わされないこと、自分の状況を正しく把握すること、そのうえで自分の答えを見つけ、行動に移すことです。

新型コロナウイルスの感染収束に向けて、今年のゴールデンウイークはステイホーム週間とされました。今はどこもかしこもコロナ一色ですが、これが落ち着ていてきたら今度は「GPIFの年金運用で巨額の損失がー!」とか騒ぎ始めるかもしれません。この本は、そうした声に惑わされず、自分にとって最適な選択を行うための後押しになるでしょう。読んでおいて損はないと思います。