新卒一括採用、年功序列、終身雇用に代表される「日本型雇用システム」は、人口の減少や高齢化、海外企業との競争などを背景に、見直しを迫られています。見直しの方向性を一言でいうなら、年齢や年次、さらには性別や国籍にかかわらず、求められる役割や責任に見合った人材の獲得・配置と処遇を実現するということになるでしょう。「ジョブ型雇用」へのシフトといってもよいと思います。

しかしジョブ型へのシフトはこれまでになかった様々な課題を生み出すことにもなります。その課題の1つがマネジャーの育成です。

年功序列が機能していれば、誰がいつ頃マネジャーになるのかは予想ができますし、ある程度準備期間を持たせることができます(例えばマネジャーの仕事を一部代行させるなど)。先輩は上司で後輩は部下という関係もずっと変わりません。

しかし年功序列が崩れるということは、抜擢や行われ、年上(先輩)の部下ができることを意味します。また、多様な価値観や勤務形態の社員をマネジメントしなければならない機会も増えるでしょう。こうしたことを想定していなかったこれまでの仕組みのままでは、マネジャーは何の準備もないままにマネジャーになってしまいます。本人には大きな負担がかかり、チームのパフォーマンスも落ちてしまいます。

ではどのような準備が必要なのか、そのヒントを与えてくれるのがこちらの本です。



<目次>
プロローグーー駆け出しマネジャーの皆さんへ
第1章 マネジャーとは何か?
第2章 プレイヤーからの移行期を襲う5つの環境変化
第3章 マネジャーになった日――揺れる感情、7つの挑戦課題
第4章 成果を上げるため、何を為すべきか
第5章 マネジャー躍進のため、会社・組織にできること
第6章 〈座談会〉生の声で語られる「マネジャーの現実」

「駆け出しマネジャー」の方はもとより、すでにマネジャーの仕事に就いている方、そして経営者や人事の方にとっても有用だと思います。各章の終わりに「振り返り」が1ページにまとめられているのも知識の定着に役立ちます。

もう1冊、同じ著者が書いた本でマネジャーにとって必須だと感じたのがこちらです。



一時期「コーチング」が流行り(?)ましたが、すべてのマネジャーがまず身に付けないといけないのがこの「フィードバック」だと思います。

こちらもマネジャーのために書かれたものですが、マネジャーにどのようなスキルが求められているのかは、経営者や人事部門も知っておくべきでしょう。

この2冊に関しては、自分自身を振り返ってみても、マネジャーの立場になったときに知っていればもう少し違う対応ができたのではないかなと思うところも多々あります。折に触れて読み返し、実践できるようにしたいですね。