退職金制度や定年制を見直す際に気を付けるべきポイントの1つに税制があります。退職金(一時金)は税制上退職所得に分類され、退職所得控除等により大きな優遇措置を受けることができますが、原則として「退職したことに基因して一時に支払われること」がその条件となっており、引き続き勤務する者に支払われる場合は退職所得として認められません。

しかし、いくつかのケースでは「引き続き勤務する者に支払われるもの」も例外的に退職所得と認められています。一方で、同じような状況でも退職一時金と企業年金等では扱いが異なることもあります。今回はそのうち退職金制度や定年制の見直しに関係するものをまとめていきます。

退職金制度の改廃があった場合(改定時点での支給)

■退職一時金(会社から直接支給する退職金)

退職金制度の改廃により改定前の勤務期間に対応する退職金を精算(改定時に支給)することとなった場合の支給額は退職所得となる。
但し精算の必要から支払われるものに限られ、例えば確定拠出年金を導入する場合において、過去期間分の退職金相当額を確定拠出年金に移すか導入時に受け取るかを従業員が選択できるようにした場合の受け取りを選択したときの支給額は退職所得ではなく給与所得となる。

■確定給付企業年金

制度変更に伴って在職中の社員に支払いが生じるのは以下のケースに限られるが、この場合の支給額は退職所得ではなく一時所得となる。
・制度終了による残余財産の分配
・事業所脱退に伴う脱退一時金

■確定拠出年金

制度変更に伴って在職中の社員に支払いが生じるのは、制度を廃止したときの勤続3年未満の社員に対する脱退一時金に限られるが、この場合の支給額は退職所得ではなく一時所得となる。
(そもそも確定拠出年金の脱退一時金は例外的な給付と位置付けられ、退職による場合であっても一時所得の扱いとなっている。)

■退職金共済(中退共・特退共)

契約を解除した場合に在職中の社員に対して解約手当金の支払いが生じるが、この場合の支給額は退職所得ではなく一時所得となる。

定年年齢が引き上げられた場合(旧定年での支給)


■退職一時金(会社から直接支給する退職金)

引き上げ前の旧定年に達した時点で旧定年までの勤続期間に係る退職金として支払われるもので、その支払をすることにつき相当の理由があると認められる場合は退職所得となる(認められなければ給与所得)。
※「相当の理由」についてはこちらを参照。

■確定給付企業年金

旧定年での一時金支給が退職所得として認められるための要件は基本的に退職一時金と同じ扱いだが、退職一時金がある場合には退職一時金も併せて旧定年で支払われることも必要な要件となる。
また、退職所得と認められなかった場合は一時所得となる。

■確定拠出年金

確定拠出年金の老齢一時金はもともと退職に起因するかどうかにかかわらず退職所得の扱いとなっている(したがって旧定年到達時点で受け取っても退職所得となる)。

■退職金共済(中退共・特退共)

退職金共済からの退職金支給はあくまで「退職」が要件となっていることから旧定年での支給はそもそも認められないと考えられる。
(但し中退共が実施した調査の概要によると、「被共済者退職届」の退職日を「定年延長前または継続雇用前の定年時を退職日としている」という回答が多くなっており、実態は異なる可能性もありそう…)

<追記>
中退共に問い合わせてみたところ、旧定年での脱退は退職扱いとならず、仮に支払う場合は「解約手当金」となって一時所得の扱いになるとの回答でした。