先週4日、企業年金連合会の2018年度決算が公表されました。


連合会では、中途退職者の企業年金の脱退一時金や、制度終了(解散)した企業年金からの分配金を受け入れ、原則として65歳以降に終身年金として支給する年金通算事業を行っています。その積立比率(純資産/責任準備金)は年金経理全体で115.0%となり、前年度より2.1%上昇しました。

ここ数年は安定して平均予定利率(代行部分については厚生年金本体利回り)と同等以上の運用収益を確保しており、2008年度以降では最も高い比率となっています。
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※企業年金連合会決算資料より作成

ところで、連合会に移換されている年金のうち、責任準備金ベースで7割超を占めているのが厚生年金本体の代行部分です。2014年4月に施行された法改正により、厚生年金基金は5年の猶予のうちに原則として代行返上または解散、つまり代行部分を国に返還することが求められ、実際今では数基金を残すのみとなっているのですが、企業年金連合会も同様に代行返上を行うことが求められています。

ただ、厚生年金基金とは異なり明確な期限らしきものは法令上設けられておらず、前年度決算までの「年金数理人の所見」では代行返上を見据えた検討課題が指摘されるにとどまっていました。しかし、今回は前回までとは一味違う内容となっています。

まず、1年間に自ら挙げた課題に対応する形で、死亡者の推計のほかいくつかの細かい点で債務計算の「精緻化」が行われています。その目的は「連合会の代行返上時の財政状況と直近の決算の値ができるだけ近いものとなるようにするため」とされており、代行返上後に発生しうる未払給付の供託等を考慮に入れたものとなっています。

これによって死差(予定死亡率と死亡実績の乖離による差損益)の動向がこれまでとは変わっており、性別・年齢別にその状況をグラフを掲載するなど詳細な説明がなされています。また、加算年金とDB年金の予定死亡率が2002年社人研推計による2050年死亡率と当時の基準死亡率から算出したものであることが明らかにされています。

さらに、連合会に移換されている年金の種類の組み合わせについてもその人数分布が集計されており、代行返上後は「薄皮部分」と呼ばれる年額1万円にも満たないような少額の年金だけが残る受給者が多数する見込みであることが示されています(金額は小さいが終身で支給されるので「薄皮」と呼ばれている)。

同様の事象はかつて代行返上を行った厚生年金基金でも起こっており、多くの基金では薄皮部分を一時金で受給できる選択肢を設けることで一時金での精算を促してきました。連合会でも今後同様の手法を検討していくことになるのではないでしょうか。