私が学生時代を過ごした海の星学寮では、年に数回、OBを招いての懇話会が行われています。私がいたときにはそんなのはなかったのですが、公益財団法人へ移行するにあたって2011年頃から始めたようです。

今年の5月、総会に参加したときに私にも講演の依頼があり、昨日久しぶりに寮に行ってきました。

同志社大学のある地下鉄今出川駅から市バスに乗車。鴨川を渡り、京大理学部前を通って浄土寺へ。海の星学寮は京都の東山、大文字の麓にあります。景色を見ていると学生時代を思い出して懐かしい気持ちになります。
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当日の講演テーマは「人生100年時代の仕事とお金」。自分のこれまでの経験も交えながら年金や給与、退職金などについて話してきました。社会人になったころの給与明細を写したら皆さんの目つきがちょっと変わりましたね😊
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毎年発行している会報にも懇話会の報告を載せるそうなので、主な質疑応答を忘れないうちに書いておくことにします。

マルチステージの時代になってお金についても自己管理が求められるようになると、退職金ではなく給与で支給したほうがよいということになるのでは?
確かに退職金を廃止してその分を給与に上乗せする会社もある。ただ次のような理由で退職金制度に対するニーズもある。
  • さっき給与明細で見たように給与からは税金や保険料が引かれる。保険料は本人だけでなく会社も負担している。しかし退職金だと税金や保険料の負担がない(小さい)ので、本人にも会社にもメリットがある。退職金相当の掛金を確定拠出年金に積み立てるのか、給与に上乗せするのかを、社員が選択できるようにしている会社もある。

  • 社員には定年まで辞めないでもらいたいという会社は少なくなるとしても、採用した以上は一定期間は勤務して会社に貢献してほしいと考える会社が大半。退職金はそれに報いることができる。また、8割以上の会社に退職金があるなかで、自分の会社に退職金がないと条件面で見劣りするというのもある。

  • 退職金には社員の採用や定着とは逆の役割もある。定年前に退職する社員に対して退職金を上乗せすることで、次のステージへ移ることを後押しすることができる。

これから就活をするにあたって自分の能力を高められるところに行きたいと考えているが、どういう基準で会社を選べばよいか?
最近の新卒採用では「自分が成長できるかどうか」を基準に考えている学生が多いと聞く。ただ会社としては当然のことながら会社に貢献する人材かどうかが大事。

私が今の会社に転職したときの理由の1つは、会社も自分も発展途上であり、それぞれの成長を重ねられそうだということだった。就職先で自分が成長できるかどうかは、それを会社の成長なり発展なりと重ねられるかどうかが重要ではないか。

今日の話は「これからはキャリア自律が大事だ」ということだと思うが、そのためにはどんなことを心がければよいのか?
同じ組織にどっぷりつかったままでいると、そこの考え方に染まって視野が狭くなりがち。会社での仕事に全力を注ぐべき時期もあると思うが、それがずっと続くわけではない。そうしたときに、組織の外でのつながりがあると新たな刺激を受けて自分のやりたいこと、やるべきことを発見するチャンスが生まれる。

さっきの寮長の話にもあったように一流企業を辞めてベンチャーを興す人もいるが、決断には勇気がいるしリスクも伴う。会社に勤めつつ、社外での活動に取り組むというのも1つの方法。私がここで話すというのもそうした活動の一環といえる。

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最初は話するのに1時間くらいあれば十分かなと思っていましたが、最終的には質疑応答含めて時間いっぱいの2時間を使いました。それでも振り返ってみると、こういうことも話しておけばよかったなーというのもあります。

学生向けに話をしたのは今回が初めてでしたが、機会があればまたやってみたいですね。