企業年金のある会社では、勤続年数等の条件にもよりますが、退職後に給付を年金で受け取るか一時金で受け取るかの選択権が与えられます。税金や社会保険料、手数料を差し引いた手取りで考えると一時金での受け取りが有利な場合が多いですが、ライフプランに合わせて「生活に必要な金額」「使ってもいい金額」を定期的に受け取れるようにしたほうが、結局は退職後の人生を豊かにできるかもしれません。

確定拠出年金の場合だと、受取方法の選択にあたって考える要素は上記のとおり主に「税金・社会保険料の負担」と「ライフプラン」の2つですが、確定給付企業年金の場合だとこれにその制度固有の給付設計や、母体企業の健全性という要素も加わります。詳しい解説はこちらのレポートにあります。

「母体企業の健全性」とは、早い話が年金を受け取っている間に会社が潰れないかどうかということです。いくら年金給付が手厚かったとしても、確定給付企業年金の場合には、母体企業の経営が傾いたりすると給付減額や制度終了(年金資産の分配により清算)が起こる可能性があります。有名なところだと、JALが2010年に経営破綻したときに受給者に対する給付の減額が行われました。

こうしたリスクについては退職する従業員もある程度認識しているようで、同一企業の年金選択率(年金・一時金の選択権がある退職者のうち、年金での受け取りを選択する者の割合)の推移をみると、経営状況が悪化しているときには低くなり、経営状況が持ち直してくると高くなる(年金で受け取る割合が増える)のが見て取れたりします。

年金選択率の推移は会社の経営に対する社員の信頼度のバロメーターとも言えますね。