先週のツイート一覧の中にあった「平成29年度公的年金財政状況報告」について、少し詳しく書いていくことにします。

この報告の中では、直近の財政検証(今回の報告でいうと2014年)で示された公的年金の財政状況の将来見通しに対して、2017年度の実績がどうであったが分析されています。財政に影響を与えるものとしては資産運用が注目されがちですが、年金財政にはそれ以外にもいくつかの要因が関係してきます。

今回の報告では、厚生年金の財政に関しては主に「運用利回りが想定を上回ったこと」「厚生年金の適用対象となる就業者が増えたこと」がプラスに、主に「賃金上昇率が想定を下回ったこと」がマイナスに作用し、トータルでは想定に比べて積立金が10兆円程度上積みされたことが示されています。
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また国民年金のほうでは、主に運用利回りが想定を上回ったことにより、積立金が3千億円ほど上積みされる結果となっています。
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2014年度以降の累計で見ると、厚生年金が31兆円余り、国民年金が1兆円余り、それぞれ財政検証時の将来見通しを上回る積立金の水準となっています。
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したがって、基本的には公的年金の財政状況は2014年時点の見通しよりも改善している、すなわちマクロ経済スライドによる給付の調整(年金による所得代替率の低下)は少なくて済む可能性が高まったと考えてよいでしょう。

ただ、物価や賃金が想定どおりには上がらなかったことから、2017年度までの年金額改定ではマクロ経済スライドが発動されませんでした(2018年度も発動されなかったが2019年度に繰り越して発動)。この点については、将来の積立金の取り崩しペースを想定よりも早める方向に、つまり財政上はマイナスに働くことになります。

そうした将来見通しへの影響に関しては、今年実施される財政検証で明らかになります。財政検証の報告では、前回の財政検証と比較して将来見通しがどのように変化して、その要因が何なのかについてもわかりやすく提示しほしいと思います。