今週、iDeCo公式サイトにアップされた2019年2月の加入等の概況によると、新規加入者が33,188人、現存加入者数は1,180,665人となっており、前年に比べるとやや勢いは衰えているものの順調に数を伸ばしています。

法改正直前の2016年末から2年あまりで加入者数は90万人近く増え、4倍ほどになったわけですが、iDeCoを取り扱う運営管理機関がどこも同じように加入者を増やしたかといえばそういうわけではありません。公式な公表数値がそろっているわけではないので確かなことは言えませんが、150以上ある運営管理機関のうち次の5つで加入者数全体の半分以上を占めているものと思われます。
  • SBI証券(※1)
  • 東京海上日動火災保険(※2)
  • 楽天証券(※3)
  • りそな銀行(※4)
  • ろうきん(※5)
※1:2017年12月時点で加入者数業界トップの145,070人(同社プレスリリース)
※2:2018年11月時点で加入者数148,276人(同社プレスリリース)
※3:2018年9月現在で業界第3位の132,804口座(同社四半期決算説明資料、運用指図者を含むものと思われる)
※4:2018年9月現在で加入者数8.8万人(同社四半期決算説明資料)
※5:2018年5月時点で加入者数8万件を突破(労働金庫連合会ディスクロージャー誌、受付ベース、全国の労働金庫の合計)

上記以外では、みずほ銀行もイオン銀行やJAバンクと提携するなどして加入者獲得に積極的に動いている印象です(イオン銀行やJAバンクは運営管理機関ではなくみずほ銀行から受付業務を委託されている立場)。

加入者数を伸ばせていない運営管理機関では、もともと単独では大きな収益をあげることが難しいビジネスであることに加え、法改正によって様々な事務対応が必要となっていることから、むしろ事業環境としては厳しくなっている面もあります。

企業型DCで多くの加入者を抱える金融機関は、少なくとも中途退職者の受け皿としてiDeCoを用意しておくことになるでしょうが、企業型DCの受託も少なく、確定拠出年金についての確たるビジネスモデルを持っていない運営管理機関は、今後運営管理業務から撤退(他社への移管を含む)していく可能性もあるでしょう。

企業にしても個人にしても、運営管理機関の選定にあたって「事業の継続性」は考慮すべき要素の1つであり、その観点からは、各運営管理機関から商品ラインナップだけでなく企業型・個人型の各加入者数の推移も公表するようにすることが望ましいと考えます。