昨日の記事にも書いたとおり、本日開催の第2回企業年金・個人年金部会では関係団体からのヒアリングが行われ、各団体から提言や要望をまとめた資料が提出されています。

このうち、連合からは正規・非正規の別や企業規模による格差の是正などを求める内容となっていますが、その他の団体からは基本的に規制や要件を緩和したり税制面などでの優遇措置を拡充させることを求める内容となっています。

企業年金の普及・拡大を目指していく(それとともにビジネスの機会を拡大していく)うえで、こうした要望を様々な場面で出し続けていくことは必要なんだとは思いますが、すぐに要望が実現に結びつくということはなかなかなく、また実現してもそれが必ずしも企業年金の普及につながっているわけではありません。

先日こちらの記事に書いたように、特に中小企業では退職金自体の実施率は比較的高い水準を維持している一方で、企業年金制度の実施率は大きく低下しています。キャッシュリッチで利益も出ている企業であれば損金算入できる外部積立制度はインセンティブになりますが、資金繰りに余裕がなくてあまり利益も出ていない企業では外部積立にはメリットがないというのもその一因でしょう。

また、従業員の側からしても(本来であれば外部積立がなければ退職金の財源の裏付けがないことになるのですが)退職金の水準がそれほど高くなければ受取時の税金等の負担は、
0=「退職一時金」=「企業年金(一時金受取)」<「企業年金(年金受取)」
となることが多いので、企業年金による外部積立のメリットはあまり感じられないのが実情だと思います。

つまり、企業年金を税制面でこれ以上優遇する余地はほとんどないといってよく、そこを追求するよりは、退職一時金に対する過大な退職所得控除を縮小することによって企業年金にメリットが出るようにするほうが効果的ではないでしょうか(企年協からの提出資料ではこの点に触れていました)。

退職所得控除は退職金が老後の生活資金となることを考慮してのものですが、退職時に多額の資金を一括で受け取る必要性は高いとはいえず、生活費という観点からはむしろ年金受取が好ましいでしょう。

したがって、控除を縮小する方向で退職所得の仕組みを見直し、それによって上の税負担の関係式が、
「企業年金(年金受取)」<「企業年金(一時金受取)」<「退職一時金」
となれば、企業年金(外部積立制度)実施の大きなインセンティブになるものと考えます。