来月から始まる新たな外国人材の受け入れ制度に関して、日本人と同等以上の報酬を確保するように企業に義務付ける政省令が公布されたとのことです。
当たり前のような話ですが、実態はそうではないということの裏返しなんでしょうね。

一方で、海外展開を加速させるためにすでに外国人材を正社員として採用し始めている企業もあります。当然報酬は日本人と同じ扱いになりますが、日本人を定年まで雇用することを想定して設計された人事制度にはマッチしません。その最たるものの一つが退職金制度でしょう。

外国人に限らず、特定の職務で役割を発揮することを期待し、社内ではすぐに育成することが難しい人材を採用する場合、比較的短期間のうちに業績への貢献を求めることになります。入ってくる人も定年までずっと同じ会社で働くことを当たり前だとは思っていないでしょう。外国人ならなおさらです。

そうした人たちにとって、定年まで勤めた人に対する老後の生活保障的な意味合いの強い退職金制度は魅力的なものにはなりません。「同等の報酬」というのは必ずしも給付内容を同一にしなければならないということではなく、想定されるキャリアコースが異なるのであれば、それぞれにマッチした給付を用意することが求められます。

退職金に関していえば、これを「前払い退職金」にして給与や賞与に上乗せしたり、あるいは退職金の代わりにリテンションボーナスを数年おきに用意して、これを賞与をとして受け取るか退職金として積み立てておくかを選択できるようにしておくといったことが考えられます。

リテンションボーナスは支給のタイミングで逆に離職を促すようなことにもなるわけですが、どちらにしても定年前に退職する可能性が高いのであれば、支給の都度、勤務継続の意思があるかどうかを事前に確認しておくことで、退職したときの人員の補充を早い段階で準備できるようになるともいえます。

また、日本国内にいる限りは転職などがあってもポータビリティに優れた確定拠出年金も、国をまたぐとなると60歳まで引き出せない(60歳になってもそのとき日本にいないと受け取りに手間がかかる)ことのデメリットが大きくなります。したがって、これについても前払いとしたり、退職一時金として積み立てる選択肢を設けることで「同等の報酬」を確保することが考えられます。