以前こちらの記事の中でこれまでにリスク分担型企業年金を導入した企業を紹介しましたが、改めて見てみると終身年金を維持しつつ従来型のDBからリスク分担型に移行している例が目立ちます。

終身年金は従業員にとってはありがたい制度である一方で、企業からすると長寿化や制度の成熟化(受給者がずっと残るため従業員に対する割合が大きくなる傾向がある)に伴う財務的なリスクがあり、その軽減策として有期年金化やDCへの移行に加えてリスク分担型という選択肢もできたということでしょう。

ただ、終身年金のリスク軽減策としてリスク分担型という方法をとることには違和感を感じます。その違和感がどこから来ているのかを改めて考えてみると、給付設計を基本的に固定する仕組みにあります。

リスク分担型では積立水準に応じて「調整率」を乗じることで給付を調整する仕組みになっていて、逆に言えばそれ以外の調整方法は認められていません。また、財政悪化リスク相当額の範囲においては「財政均衡」の扱いとなって給付調整は発生しないため、少なくとも20年程度は給付調整(減額)が起こらないような設計思想となっています。

つまり終身年金をリスク分担型にもっていくということは、現在の支給開始年齢と年金額を長期にわたって維持できるようにあらかじめ掛金を余分に積んでおくということであり、今後の平均余命の伸長に応じて実質的に給付増額していくということを意味します(もちろんリスク分担型に移行した後であっても規約変更による給付設計の変更は可能ですが)。

今後も終身年金を維持していくとした場合には、長寿化や社会情勢の変化に応じて継続雇用年齢とともに支給開始年齢など年金制度の給付設計も一体的に見直していくことが必要でしょう。それを考えると、例えば、基準死亡率の改定を年金額の計算に連動させることができるような仕組みのほうが、リスク軽減策としてはふさわしいように思います。