確定拠出年金法の改正により、2018年5月以降は加入者に対する継続的な投資教育が努力義務となりましたが、企業の担当者からは何をどこまでやればいいのかよくわからないというの声も聞かれます。その原因は、結局のところ、確定拠出年金制度(DC)を実施することで会社として何を実現したいのか、従業員にどうなってほしいのかが明確になっていないことに行きつくのではないかと思います。

そうは言っても、主に会社の都合や金融機関からの強い働きかけによってDCを導入したのであって、今さらDCで何を実現したいのと聞かれても返答に困るという声も聞こえてきそうです。しかし、DCを実施しているということはそれだけ人件費と経費をかけているということであり、新入社員が入ってくれば制度の説明もしなくてはなりません。人事施策としてのDCの意図が不明確なままそうしたことを続けるのは資源の無駄遣いというほかありません。

もし本当にDCを実施している意味を見いだせないのであれば、制度を廃止して浮いた資金を給与や賞与に回せばよいでしょう。積み立てを継続したい社員は増えた分の給与をiDeCo(個人型確定拠出年金)の掛金に充てればいいだけのことです。

しかしそこに何らかの不都合が生じるのであれば、そこからDCを実施している目的を引き出せるのではないでしょうか。例えば単に「給与として支払うことになると社会保険料も増えて人件費が余計にかかるので避けたい」という会社側の都合であったとしても、以下のように示せば従業員にとってメリットのある制度だと捉えることができます。
  • 人件費として100の予算を確保している。
  • これを給与として支給する場合、社会保険料負担分を考慮すると支給できるのは約87。
  • そこから本人が負担する税金や保険料を差し引くと手取りはせいぜい70程度。
  • しかしDC掛金として拠出するなら手数料を差し引いても95を各従業員の口座に積み立てることができる。
こうした説明を行うのは”投資”の教育ではないかもしれませんが、なぜDCを実施しているのかが従業員に伝わっていない段階においてはまずそれを理解してもらうのが先決であり、それがあってこそDCを有効に利用してもらうための”投資”教育が生きてくるのだと考えます。