先日はこちらの記事で企業年金連合会による企業型確定拠出年金(DC)の実態調査の結果について紹介しましたが、これに先立って401k教育協会からも「DC担当者の意識調査」の報告書サマリーが先月公表されています(こちらに掲載)。以下のように、連合会の調査とは少し異なる視点での項目も盛り込まれています。

無期転換ルールへの対応

無期転換ルールとは、契約社員やアルバイトなどの有期契約の社員が契約更新により期間5年を超えたときには無期雇用への転換を申し込むことができるというルールです。申し込みを受けた会社は、その直後の契約更新のタイミングで無期契約に切り替える対応が必要となります(詳しくはこちら)。

無期転換ルールが施行されたのは2013年4月であり、2018年4月以降に初めて申込みの権利が発生することになります。そしてこれがなぜDCに関係するかというと、DCを実施している多くの企業では有期契約社員をDCの加入対象から外しており、無期転換した後の取り扱いをどうするかが問題となるためです。

DCは、法律上はあくまで60歳未満の厚生年金被保険者である従業員全員を加入者とすることを原則としており、対象外となる社員には「労働条件が著しく異なって」いない限り、掛金相当額を給与に上乗せするなどの代替措置を設けることが必要となります。有期雇用であることを根拠に代替措置を設けてこなかった企業においては、無期転換後にDCの加入者とするのか給与への上乗せ等を行うのかを決める必要があります。

今回の調査結果によると、
  • 既に対応済である:45.2%
  • 対象となる加入者がいないため対応不要である:24.1%
  • 対応方法について現在検討中である:16.9%
などとなっており、半数近くの企業が対応済みとなっています。ちなみに調査の時期は2018年6月下旬から8月上旬です。

その対応内容までは記載されていないので正確なところはわかりませんが、DCに加入させるとなると説明(投資教育)や各種手続きが必要となることなどから、代替措置(給与への上乗せ)により対応しているケースが多いのではないかと考えます。

増える選択制拠出との組み合わせ

DCでは事業主が掛金を拠出するのが基本ですが、マッチング拠出やiDeCo(個人型確定拠出年金)併用により加入者本人も掛金を拠出できるようにすることができます。また、それまで給与として支給していたものの一部を本人の選択によりDCの事業主掛金に振り替えられる(加算できる)ようにすることで、従業員の自助努力を支援するやり方もあります。

今回の調査では、2018年に新規導入した企業に限ってみると、3つ目の「企業型DC+選択制拠出」を採用したのが36.0%と最も多く、以下次のような順となっています。
  • どれもあてはまらない:30.7%
  • マッチング拠出:25.3%
  • iDeCo併用:5.3%
(そのほか無回答が8.0%。合計すると100%を超えるのは選択制とマッチングまたはiDeCoを両方採用しているケースがある?)

マッチング拠出は加入者掛金を事業主掛金以下にしなければならないという制約があり、またiDeCo併用にすると事業主掛金の限度額を一律引き下げなくてはならないことから、もっとも融通の利くやり方として選択制との組み合わせが支持されているのだと思います(但し標準報酬が減少すること等による”副作用”には注意が必要)。

一方で、制度変更時に「従業員の自助努力を支援する制度」を設けた企業についてはマッチング拠出の採用割合がiDeCo併用や選択制との組み合わせよりも圧倒的に高くなっています。すでに実施しているDC制度の業主掛金の限度額を引き下げたり賃金体系に手を加えるのはハードルが高いということでしょう。

ただ全体としては選択制の採用割合が増える傾向にあると考えられ、そうなると現在のマッチング拠出という制度そのものの意義が問われることになってきます。

確定拠出年金制度については、今月から名称を改めて新たにスタートする厚生労働省社会保障審議会の「企業年金・個人年金部会」において限度額の見直しについても議論されていくことになると思いますが、企業型DCにおける「従業員の自助努力を支援する制度」のあり方についても整理が必要だと考えます。