先週公開したクミタテルのコラム「定年前に退職した場合の確定給付企業年金」を読んだFP(ファイナンシャルプランナー)の方から、以下のようなコメントをいただきました。

企業年金の受取方法をどうするかについては、税金や社会保険料の観点や本人のライフプラン・マネープランの観点から論じられることが多いですが、子どもや家族のこと、相続という切り口で考えられているのは新鮮でした。

今あるほとんどの確定給付企業年金は終身年金を設けていないため、確定年金でしか受け取れませんが、クミタテルのコラムに書いたように定年前に退職したときの脱退一時金は、企業年金連合会の通算企業年金に移すことで終身年金化することができます。

また、企業年金の一時金や確定年金、退職一時金を60歳代後半の生活費に充てることで、公的年金の受給を繰り下げれば終身で受け取る年金額が増えますから、これも企業年金や退職金を間接的に終身年金化する1つの方法(というか非常に有効な方法)だといえるでしょう。

このように、高齢期において金融資産を「終身年金を受け取る権利」に変えておくことは、本人だけでなく家族にとっても重要な意味を持つと考えられます。

たとえば、将来的に介護が必要な期間が長期化した場合、終身年金というキャッシュフローがあることで家族に経済的な負担をかけなくて済むかもしれません。また、預金の形で多くの資産を保有していると、判断力が低下してきたときなどに、それをどう管理するかという問題が出てくるでしょう。

相続の観点からは、遺産を多く残すよりは自分の生きている間に使いたいという考えであれば、資産を終身年金化しておくことで寿命にかかわらず資産を余らせたり逆に不足してしまうことを回避できます。

退職金や年金の受け取りに関しては、表面的な損得に左右されることなく、相続を含めた将来のプランを家族と共有しながら考えるのが理想的ですね。