今日は初めて厚生労働省の社会保障審議会年金部会を傍聴してきました。普段は大阪にいるのでWebにアップされている資料や議事録でしか見ていないのですが、今回はたまたま開催時間が東京への出張のスケジュールにうまい具合にはまったので申し込んでみたという次第です。
P_20190130_224521
(厚さ1cmの資料を持って帰ることになるとは思ってませんでした…)

Webを見ただけではわからない会議での実際のやり取りや、会議終了後のブリーフィング(事務局である厚生労働省の担当官と傍聴者との質疑応答。議事録には載らない)の様子も見ることができたのは新鮮でした。事務局による説明タイムは正直眠くなるところもありましたけどね(^_^;)

議題は5つありましたが、本題の公的年金の財政検証に関しては前提の置き方やオプション試算の内容、結果の伝え方(アウトプットの仕方)について各委員から様々な意見が出され、それらを踏まえて今後事務局にて具体的な案を作成し、次回提示することとなっています(時期は未定)。

基本的な方向性としては、前回の財政検証と同様にいくつかの前提条件のもとで幅を持たせた形で給付水準(マクロ経済スライドによる調整期間の終了時期の見込)の将来推計を行い、それに加えて制度改定による効果を確認するための以下のようなオプション試算を実施することになりそうです。
  • 物価や賃金が上がらない年があることを想定したときの、マクロ経済スライドの適用有無による違いが分かるような試算
  • 短時間労働者への厚生年金適用拡大をさらに進めたときの効果が分かるような試算
  • 保険料拠出期間(現在国民年金については60歳になるまで)の延長や、受給の繰下げ可能期間(現在は最長70歳まで)の延長による効果が分かるような試算
また、在職老齢年金の廃止についてはオプション試算には盛り込まないとしても、それによる財政への影響がわかるような形で結果が報告されることになりそうです。

いずれにしても、財政検証の最終的な目的は将来にわたって必要とされる給付水準を確保するためにどのような施策が有効であるかを示すことであり、そのためにどのようなアウトプットとするのかが重要になるでしょう。

そのほか、今回の議事には先日の記事に書いたとおり企業年金部会改め「企業年金・個人年金部会の開催」が盛り込まれていましたが、名称変更の報告以上の内容はなく、次の予定もまだ決まっていないということでここはちょっと期待外れでした。

企業年金・個人年金部会の部会長代理を兼務する委員からは「公私年金と高齢者雇用は一体的に考える必要があり、私的年金の検討にあたっては公的年金が今後どの時点でどの程度の水準になっていくのかということを踏まえる必要がある」という趣旨の発言がありました。

年金部会に関係する部会や委員会には、今回の会議で名前があがったものだけでも「年金数理部会」「年金財政における経済前提に関する専門委員会」「企業年金・個人年金部会」があり、各会の連携をどう図っていくのかも今後の議論を進めていくうえでの課題となりそうです。