昨年の年末、国民年金への加入について、「職権適用」を原則とすることで本人による手続きを不要とする方針であるという記事が日経に掲載されました。

20歳前に就職して勤務先で厚生年金に加入している人に関しては、20歳になった時点で自動的に国民年金にも加入することとなるため国民年金への加入手続きは特に必要ありませんが、学生等については20歳になったら市町村の窓口で加入手続きを行う必要があります。関連する法令を確認してみたところ、次のように規定されていました。
【国民年金法第12条】
被保険者(第三号被保険者を除く。次項において同じ。)は、厚生労働省令の定めるところにより、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更に関する事項並びに氏名及び住所の変更に関する事項を市町村長に届け出なければならない。
【国民年金法施行規則第1条の2】
法第十二条第一項の規定による第一号被保険者(法第七条第一項第一号に規定する第一号被保険者をいう。以下同じ。)の資格の取得の届出は、当該事実があつた日から十四日以内に、次の各号に掲げる事項を記載した届書を市町村長(特別区にあつては、区長とする。第二章第一節を除き、以下同じ。)に提出することによつて行わなければならない。
<以下略>
 
このため、現在の原則的な手続きの流れは、
  1. 20歳の誕生日の前月に日本年金機構から手続き書類が送られる。
  2. その書類を市町村の窓口に持参して国民年金の加入手続きを行う(本人に代わって世帯主が行うことも可能)。
  3. 日本年金機構から年金手帳と保険料納付書が送られる。
  4. 保険料納付書により保険料を納める(口座振替やクレジットカード払いも可)。
となっており、2.の手続きが行われない場合に「職権適用」、つまり日本年金機構側で本人に代わって加入手続きを行う仕組みとなっているようです。

職権適用というと保険料を強制的に徴収するというイメージを持つ人もいるかもしれませんが、日本年金機構側で行うのはあくまで加入の手続きであり、職権適用といってもいきなり保険料の取り立てがくるわけではありません(未納のままにしていると保険料の催告や免除手続きについての案内が来ることにはなると思いますが)。

で、現在検討されているのは、上記の手続きのうち1と2の代わりに職権適用を原則とすることで、日本年金機構からの事前の書類送付と本人による手続きを不要にするということのようです。

ただ、法律改正ではなく、省令(施行規則)の改正によってということなので、法律上はあくまで本人による手続きを原則としつつ(したがって本人による手続きももちろん受け付ける)、実務上は不要にしてしまうということなのでしょう。事務的にはそのほうが効率的です。

日経の記事には「ただ20歳になったときに職権適用で加入した人の保険料の初年度納付率は3割弱で、自主的に届け出た人の8割超に比べて低い。自動的に加入する仕組みになれば利便性が向上する半面、年金加入者としての意識が薄まる懸念もある。」とありますが、手続きが変わっても保険料を納める人は納めるし、納めない人は納めないんだと思います。

それよりも、日本の年金制度は持続可能なシステムとなるように設計されており、将来にわたって十分に機能していくかどうかは最終的には自分たち次第であるということを学校などで正しく伝えていくことが大事でしょう。

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さらに言えば、成人年齢を18歳にするのに併せて国民年金への加入も18歳にして、免除等の手続きについても高校で教えるようにすることで、年金に対する意識や理解はだいぶ変わってくるのではないかと思います。