今月14日と17日に、厚生労働省の社会保障審議会年金数理部会で公的年金各制度の2017年度の財政状況が報告されました。日本の公的年金制度(強制加入の年金制度)といえば国民年金(基礎年金)と厚生年金ですが、財政上はこれに国家公務員共済組合(国共済)、地方公務員共済組合(地共済)、私立学校教職員共済組合(私学共済)の3つが加わります。

公務員や私立学校の教職員が加入する国共済、地共済、私学共済の3制度については、従来は民間の会社員が加入する厚生年金とは別の仕組みで運営されていましたが、2015年10月に実施された被用者年金の一元化により厚生年金に一本化されました(民間の企業年金に相当する上乗せ部分は「退職等年金給付」として別制度で運営されることとなった)。

しかし、保険料の収納や積立金の運用、給付の支払い等の事務は引き続き各共済組合ごとに行われており、財政運営上も別勘定で管理されていることから、公的年金全体の状況については共済組合も含めて見ておく必要があります。

年金数理部会の資料(国民年金と共済以外の厚生年金はこちら、共済はこちらに掲載)から、2018年3月末の積立金残高(時価ベース)の合計と内訳を示したのが次の図です。
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(1,000億円未満は切り捨てて集計)

このうち、厚生年金勘定と国民年金勘定の積立金についてはGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)で運用されていますが、3共済については上記のとおりそれぞれの共済で運用しています。ただ、運用目標はすべて共通していることを考えれば、最終的にはGPIFでの運用に一元化して効率化すべきなのだろうと思います。

さて、この総額200兆円にも達しようとする公的年金の積立金の水準を財政上どう評価するのかということですが、これについては、「前年度末の積立金残高が実質的な年間支出の何年分にあたるか」という積立比率によって表されています。

公的年金は、おおむね100年後に年金給付費1年分の積立金を持つことができるようになるまでマクロ経済スライドにより給付水準の減額調整を行っていくこととされており、5年に1度の財政検証では将来にわたる積立比率の推移をいくつかの前提のもとに推計しています。この推計値に対して、2017年度の実績は以下のようになっています。

・厚生年金勘定:4.9(4.2)
・国民年金勘定:7.1(5.4~5.7)
・国共済+地共済:5.4(4.3~4.4)
・私学共済:4.8(3.7~3.8)
※カッコ内が推計値

いずれも前回(2014年)の財政検証時の推計値を上回っており、特に国民年金勘定の積立比率が高まっています。これは、GPIFでの運用成績が目標を上回ったことに加えて、多くの人が国民年金(第1号被保険者)から厚生年金(第2号被保険者)へ移ったことで、国民年金勘定の支出が減少したことが理由として考えられます。

前回の財政検証における将来推計では、国民年金は厚生年金に比べてマクロ経済スライドによる減額調整が長く続く結果となっていましたが、次回(2019年)の財政検証ではこれが改善される(減額調整期間がより短くなる)のではないかと思います。