2ヶ月ほど前の話になりますが、近くのブックオフに立ち寄ったときにこちらの本が目に入り、購入して読んでみました。

劣化するシニア社員 日経プレミアシリーズ
見波 利幸
日本経済新聞出版社
2014-02-22


産業カウンセラーである著者は、タイトルにもあるとおり、定年後再雇用により「劣化」したシニア社員を部下に持つことになったマネージャーからの数々の相談から、「問題児シニア社員」を6つのタイプに分け、それぞれについて事例を交えて紹介したうえで、その背景要因となっている本人の意識面の問題をいくつか指摘しています。

しかし、本人に問題があるケースばかりではなく、本当に辛い思いをしているのはシニア社員本人であるとして、職場環境がやる気を失わせている問題についても指摘し、シニア社員を受け入れる側、シニア社員本人自身の双方からの効果的なアプローチを提示しています。

特に著者が重要視しているのは「働く意味」であり、
シニア社員にとっても、「どんな仕事をしたいのか」ではなく、その仕事を通して、あるいはその職場から「何を得たいのか」「何を大切にしたいのか」をもう一歩踏み込んで考えることが重要なのです。
としています。

理想を言えば、マネージャーはシニア社員から「働く意味」を引き出し、職場環境を整えることで、「劣化」させることなくパフォーマンスを発揮してもらうことができるでしょう。

今後、多く企業で60歳以上の社員の占める割合が大きく増加していくことが予想されるなかで、本人の処遇や意識付けをどうするかという課題に加え、シニア社員を受け入れる側、特に上司となる社員がどう対応していくかも大きな問題となっていくことは想像に難くなく、人事としてはそうした立場にある社員への支援も重要になると考えます。