昨日の記事のなかで、これからの時代、人事には「採用→育成→活躍」にかかる期間を短くしていくことが求められるということを紹介しましたが、これには続きがあります。

そのようにして早くから相応のポジションで活躍するようになった社員に長く活躍しつづけてもらうためには、それにふさわしい処遇を行うのはもちろんのこと、”エンゲージメント”が重要になるということです。

エンゲージメントはもともと”約束”といった意味ですが(例えば「エンゲージリング」は「婚約指輪」)、人材マネジメントの領域では次のような意味で使われています。
エンゲージメントとは、社員の会社に対する「愛着心」や「思い入れ」を表すものと解釈されますが、より踏み込んだ考え方としては、「個人と組織が一体となり、双方の成長に貢献しあう関係」のことをいいます。
(「日本の人事部」より)

”北風”のように会社に縛り付けようとしてもかえって離れていくだけであり、”太陽”のように自らの意思で組織へ貢献しようとするような関係を築いていく、といったイメージでしょうか。ベースにあるのは相互の信頼関係だといってもいいでしょう。

そして、退職給付(退職金)は、そのエンゲージメントを高めるための方策の1つとして活用できるのではないかと私は考えています。

退職給付制度には、その会社が社員に対して入社から退職まで(あるいは退職後まで)どのようなキャリアを歩んでほしいのかが表れます。

極端な例をいえば、定年退職者にだけ手厚い終身年金が支給される制度には、とにかくみんなが定年まで勤め上げることがよしとされる思想が反映されているでしょうし、30代後半で1000万円をこえるような割増退職金が用意されている制度であれば、その時点で会社を卒業して次のステージい進むことが推奨されているということです。

どのような制度であったとしても、それが会社の経営方針や経営理念と合致したキャリアプランに沿った形で設計されていれば、その設計思想とともに退職給付の内容を従業員に社員し、説明することができるはずですし、それによって従業員は会社の意図を理解したうえで、自らのキャリアプランを考えることができるでしょう。

結果として、より多くの社員が自分の納得できるキャリアを選択できるようになり、会社としても在籍期間を通じた社員のパフォーマンスを引き上げることにつながるのではないかと考えます。