今月初め、イデコ公式サイトに確定拠出年金統計資料(2018年3月末基準)が掲載されました(こちら)。運営管理機関等56社で構成される運営管理機関連絡協議会が毎年まとめている資料であり、確定拠出年金に関する統計としてはもっとも情報量が多いものだと思います。
今回は、この統計資料から、企業型年金に関するいくつかの項目をとりあげることにします。
■1規約あたりの事業所数
■1事業所あたりの加入者・運用指図者数
これは、総合型DC(多数の企業が1つの規約のもとで制度運営を行う企業型年金)に加入することで企業型年金を実施する中小企業が特に増えている結果だと考えられます。
■マッチング拠出の実施率(事業所ベース)
また、マッチング拠出実施企業において、実際に加入者掛金を拠出している加入者数の割合(全体を合計したもの)は以下のとおり推移しており、こちらも上昇傾向にあります。
■マッチング拠出実施企業における利用率(加入者数ベース)
会社でマッチング拠出の仕組みが用意されていれば3割程度の人は利用しているということですので、iDeCo(個人型確定拠出年金)も広く周知されて手続きも簡単になれば、潜在的にはこれと同じくらい普及する可能性もあるといえます(現在のところ、会社員のiDeCo加入率は2%程度)。
この金額については多少の変動はあるものの、過去5年間は概ね同水準で推移しています。
■老齢給付金(一時金)の1件あたりの額
仮に資格喪失時の資産額が500万円だったとすると、例えば65歳から年に100万円ずつ(1月あたり8.3万円)5年間受け取って、公的年金は70歳まで繰下げることで、65歳からの5年間の年金は非課税で受け取ることができます(他に企業年金等はない前提)。
勤労収入と合わせて70歳までの生活費を確保することができれば、その他の貯蓄等を取り崩すことなく、70歳からは増額された公的年金(基礎年金+厚生年金)を受け取ることができます。
今は一時金で受け取るときの非課税枠(退職所得控除)が大きいこともあって一時金受取の選択割合が非常に高いですが、将来的にこの控除が縮小されたり、公的年金の繰下げ受給を考える人が増えてくれば、上記のような受取方法も増えてくるでしょう。
今回は、この統計資料から、企業型年金に関するいくつかの項目をとりあげることにします。
総合型DCに加入する中小企業が増加
企業型年金については規約数、事業所数、加入者・運用指図者数とも増加を続けていますが、1規約あたりの事業所数は増加傾向にある一方で、1事業所あたりの加入者・運用指図者数は減少しています。■1規約あたりの事業所数
■1事業所あたりの加入者・運用指図者数
これは、総合型DC(多数の企業が1つの規約のもとで制度運営を行う企業型年金)に加入することで企業型年金を実施する中小企業が特に増えている結果だと考えられます。
マッチング拠出の実施率・利用率が上昇
マッチング拠出を実施する事業所数は企業型年金の実施事業所数よりもハイペースで増えています。つまり、マッチング拠出の実施率(事業所ベース)が高まっているということです。■マッチング拠出の実施率(事業所ベース)
また、マッチング拠出実施企業において、実際に加入者掛金を拠出している加入者数の割合(全体を合計したもの)は以下のとおり推移しており、こちらも上昇傾向にあります。
■マッチング拠出実施企業における利用率(加入者数ベース)
会社でマッチング拠出の仕組みが用意されていれば3割程度の人は利用しているということですので、iDeCo(個人型確定拠出年金)も広く周知されて手続きも簡単になれば、潜在的にはこれと同じくらい普及する可能性もあるといえます(現在のところ、会社員のiDeCo加入率は2%程度)。
老齢給付金(一時金)の平均額
2017年度の老齢給付金(一時金)の1件あたりの額は465万円となっています。確定拠出年金の老齢給付金は9割以上が一時金受取となっていますから、60歳以降で資格喪失したときの資産額の平均も同じくらいの水準だと考えてよいでしょう(ただし資産額の分布はばらつきが大きいと思われ、60歳時点では465万円くらいの資産額をもっている人が多いというわけでは必ずしもない)。この金額については多少の変動はあるものの、過去5年間は概ね同水準で推移しています。
■老齢給付金(一時金)の1件あたりの額
仮に資格喪失時の資産額が500万円だったとすると、例えば65歳から年に100万円ずつ(1月あたり8.3万円)5年間受け取って、公的年金は70歳まで繰下げることで、65歳からの5年間の年金は非課税で受け取ることができます(他に企業年金等はない前提)。
勤労収入と合わせて70歳までの生活費を確保することができれば、その他の貯蓄等を取り崩すことなく、70歳からは増額された公的年金(基礎年金+厚生年金)を受け取ることができます。
今は一時金で受け取るときの非課税枠(退職所得控除)が大きいこともあって一時金受取の選択割合が非常に高いですが、将来的にこの控除が縮小されたり、公的年金の繰下げ受給を考える人が増えてくれば、上記のような受取方法も増えてくるでしょう。