中退共(中小企業退職金共済)に加入している人の99%には(そして企業の担当者にも)知られていないと思いますが、中退共から支給される退職金額は、資産運用結果がよければ増額される仕組みになっています。実際、2018年度は全体で175億円、1人あたりにすると5千円程度が付加退職金として上乗せされています。

(ただ不確実なものなので、制度設計等の場面などでは私自身もあまり詳しい説明はしていません。)

今月開催された厚生労働省の中小企業退職金共済部会の資料によると、2017年度の運用利回りは2.29%。特に高いというわけではないですが、それでも退職金を上乗せできるのは予定利率が1%と低めに設定されているからであり、これを上回った分は財政上の「剰余」となります(その分、運用方針については、基本ポートフォリオで国内債券の割合を約8割としているなど安全性重視)。

ただ、この剰余金のすべてが付加退職金に回されるわけではなく、将来運用損失が出たとしても問題なく制度が継続できるよう、一定額までは優先して積立に回されます。

その基準として前年度に設定されたのが4,400億円という累積剰余金の目標であり、2021年度末に剰余金の積立がこの金額に到達するよう、各年度に発生した剰余金は一定のルールのもとで付加退職金と積立に配分されることとなります。

上記の部会資料によると、2017年度末の累積剰余金は4,335億円(前年度比+522億円)となっており、目標積立額まであと65億円のところまできました。これは、中退共全体の資産額約4.8兆円に対して0.1%強の水準であり、今期、予定利率の1.0%をわずかに上回る運用収益を確保できれば、2021年度を待たずに目標水準を達成することとなります。

したがって、今後も運用が順調なら予定利率を上回った分のほぼ半分が付加退職金に回されることとなります。ただ今期については10月以降、株価が下がってきているので、このままいくと退職金の上乗せはなく、逆に剰余金を取り崩すことになるかもしれません(それでも十分なバッファーがあることに変わりはないですが)。