確定拠出年金のテキストには必ずといっていいほど「リバランス」という考え方が出てきますが、実際にこれを行うためのスイッチング作業はそれほど単純ではではありません。しかしその手順について解説したものはほとんど見かけたことがありません。

なお、リバランスとは、当初定めた資産構成割合(例えば、「国内債券」「外国債券」「国内株式」「外国株式」各25%)が、時間の経過とともにそれぞれの運用結果の違いにより割合が変わっていくのに対応するため、定期的に(あるいは割合が大きく変化した時に)当初の割合に調整することをいいます。

このブログでは、以前に「DCの商品構成を全体的に見直したい場合のスイッチング手順」でその考え方やスイッチングの手順を示しましたが、RK(レコードキーパー、記録関連運営管理機関)によっても踏むべき手順には違いがあります。

その違いをわかりやすくするために、以下のように運用資産の商品構成を変更するために必要なスイッチング作業を考えてみます(商品Aは投資信託とします)。
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JIS&Tの場合

Step1:売却商品として「商品A」を選択。
Step2:購入商品として「商品B」と「商品C」を選択。
Step3:商品Aの売却割合を50%として売却口数を自動計算により設定。
Step4:商品Aの売却資金により購入する商品Bと商品Cの割合を各50%に指定。
Step5:申し込み内容を確認して実行(完了)。

※Step5において、「商品Aの25売却と商品Bの25購入」「商品Aの25売却と商品Cの25購入」の2件のスイッチングに自動的に振り分けられる。

SBIベネフィット・システムズの場合

Step1:売却商品として「商品A」を選択。
Step2:商品Bの購入に割り当てるための売却口数を自分で計算して設定(売却可能口数×25/100)。
Step3:購入商品として商品Bを選択。
Step4:申し込み内容を確認して実行(1件目が完了)。
Step5:最初に戻り、売却商品として「商品A」を選択。
Step6:商品Cの購入に割り当てるための売却口数を自分で計算して設定(売却可能口数×25/75)。
Step7:購入商品として商品Cを選択。
Step8:申し込み内容を確認して実行(2件目が完了)。


というわけで、SBIのほうが明らかに面倒ですね。これは、売却口数を割合や金額から自動計算して設定する機能がないこと、1度の手続きで選択できる売却商品が1つに限られていることによるものです。

RKは上記2社以外にNRK(日本レコード・キーピング・ネットワーク)と損保ジャパン(損保ジャパン日本興亜DC証券)の2つががあり、このうちNRKについてはJIS&Tと同様の手順によりスイッチングを行うことが可能となっています(損保ジャパンは不明)。

私が現在加入しているSBI証券のiDeCoプランのRKはSBIベネフィット・システムズ、また以前に加入していた企業型のプランではRKはJIS&Tということで、NRKも一度試してみたいところではあります(資料を見る限りでは操作性は良さそう)。ただそれにはプラン変更と資産の移換を伴うので、気軽には変えられないですね。

ちなみに、JIS&Tに接続する運営管理機関の一覧はこちら、NRKはこちらに掲載されています。JIS&TとNRKの両方に接続している運管もあります。SBIについては、私の知る限り、SBIベネフィット自身とSBI証券、大和証券、スルガ銀行の4社です(損保ジャパンは損保ジャパン自身のみ)。