昨日に引き続き、2018年の就労条件総合調査の結果について。

これまで、退職給付を調査項目としていた回では、退職給付の算定方法(給与比例、ポイント制等)の採用割合も概況に掲載されていたのですが、今回はまだ集計が終わっていないのか、概況の資料には掲載されていません。ただ調査項目には入っており、他の詳細なデータも含めて今年度中にはe-Statにアップされる予定のようです。

ということで、今日は退職給付の支給額について見ていきます。

■勤続35年以上の定年退職者1人あたりの平均支給額
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注:比較のため、2018年は前回と同じ調査対象で集計した結果を表示。

「高校卒(現業)」については前回調査よりも増えていますが、大卒と高卒のホワイトカラーについては減少しており、退職金の減少傾向に歯止めがかかっていません。大卒の平均支給額は1,997万円となり、2,000万円の大台を割り込みました。

ちなみに、大卒定年退職者(勤続35年以上)の支給額の推移は以下のようになっています。
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(注)2008年以降の調査では、調査対象がそれ以前よりも拡大。

見事に右肩下がりですねー…。

要因としては、退職給付制度の見直しによって給付水準自体が下がったこと、定年まで勤めても上の役職まで上がらない人が増えてきたことの両方があると思いますが、これに加え、今回については相対的に給付水準の低い中小企業の退職給付制度実施率が上がったこと、そしてDC(確定拠出年金)が広まってきたことによって、実際の支給額が捕捉しづらくなっている影響もあるのではないかと私は見ています。

<参考記事>
退職給付の水準は本当に低下しているのか?

退職給付の水準に関する調査は他にもいくつかあるので、それらもあわせて見ていく必要があるでしょう。また、今回の概況には企業規模別の結果が掲載されていなかったので、最終結果が出たらまた見ておこうと思います。

なお今回からは、調査対象企業に、産業の種類として「複合サービス事業」が、組織形態として「医療法人、社会福祉法人、各種協同組合等の会社組織以外の法人」が新たに加わり、調査対象が広がっています。具体的には、医療法人や社会福祉法人のほか、郵便局や農協、生協などが加わっています。

これによって、全体の支給額の平均は、以下のように変化しています。

■勤続35年以上の定年退職者1人あたりの平均支給額
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大卒と高卒のホワイトカラーでは、対象拡大により平均額が増加しており、公的な性格をもつこれらの法人では、相対的に退職給付の水準が高いことがうかがえます。