今週23日、厚生労働省から2018年の就労条件総合調査の結果が公表されました。
平成30年就労条件総合調査 結果の概況
今年は5年に1回、退職給付についても調査の対象となる年にあたり、早速内容を確認してみました。
まず特筆すべきは、1993年以降、低下し続けてきた退職給付制度(退職一時金または退職年金)の実施率が下げ止まったことです。
(注)2008年以降の調査では、調査対象がそれ以前よりも拡大。2018年の率は、2013年と同じ対象範囲で集計したもの。
企業規模別にみると、従業員数1000人以上の大企業では若干低下していますが、1000人未満の中堅、中小企業では実施率が上昇しています。特に100人未満の企業の伸びが大きくなっています。
(注)2018年調査では、調査対象が前回よりも拡大。
人材確保のために、退職給付制度を新たに設けて処遇を改善する企業が出てきたということでしょう。
しかし退職年金制度(主に企業年金制度)の実施率の低下には依然として歯止めがかかっていません。
(注)1つの目グラフと同じ。
企業規模別に見ても、すべての規模で低下しています。
(注)2つ目のグラフと同じ。
中堅・中小企業で新たに採用されたのは、退職年金(企業年金)制度ではなく退職一時金制度(中小企業退職金共済制度(中退共)を含む)が多かったということでしょう。
また、退職年金制度の実施率の変化を制度別にみると以下のようになっています。
(注)同上
確定給付企業年金(DB)と確定拠出年金(DC)は伸びていますが、厚生年金基金については制度改正により原則廃止となった影響で大きく減少しています。これは適格年金制度が廃止されたときも同じだったのですが、厚生年金基金が解散した後、受け皿となる他の企業年金制度を用意しなかった企業が多かったということです。
ただ中退共の実施率は伸びているので、企業年金制度は用意しなかったが、中退共に移したという企業はそれなりにあったのだと思います(これも適年廃止の時と同じ)。
なお、昨日の日経に「企業年金、確定拠出が5割超え」という見出しの記事がありましたが、これは「退職年金制度を実施している企業」の中でのDC実施率が5割を超えたということであり、企業全体で見ると上記のように10%を少し超えた程度です(1000人以上の大企業に限って見れば4割超)。
次回は、退職給付の支給額に関する項目について見ていきます。
平成30年就労条件総合調査 結果の概況
今年は5年に1回、退職給付についても調査の対象となる年にあたり、早速内容を確認してみました。
まず特筆すべきは、1993年以降、低下し続けてきた退職給付制度(退職一時金または退職年金)の実施率が下げ止まったことです。
(注)2008年以降の調査では、調査対象がそれ以前よりも拡大。2018年の率は、2013年と同じ対象範囲で集計したもの。
企業規模別にみると、従業員数1000人以上の大企業では若干低下していますが、1000人未満の中堅、中小企業では実施率が上昇しています。特に100人未満の企業の伸びが大きくなっています。
(注)2018年調査では、調査対象が前回よりも拡大。
人材確保のために、退職給付制度を新たに設けて処遇を改善する企業が出てきたということでしょう。
しかし退職年金制度(主に企業年金制度)の実施率の低下には依然として歯止めがかかっていません。
(注)1つの目グラフと同じ。
企業規模別に見ても、すべての規模で低下しています。
(注)2つ目のグラフと同じ。
中堅・中小企業で新たに採用されたのは、退職年金(企業年金)制度ではなく退職一時金制度(中小企業退職金共済制度(中退共)を含む)が多かったということでしょう。
また、退職年金制度の実施率の変化を制度別にみると以下のようになっています。
(注)同上
確定給付企業年金(DB)と確定拠出年金(DC)は伸びていますが、厚生年金基金については制度改正により原則廃止となった影響で大きく減少しています。これは適格年金制度が廃止されたときも同じだったのですが、厚生年金基金が解散した後、受け皿となる他の企業年金制度を用意しなかった企業が多かったということです。
ただ中退共の実施率は伸びているので、企業年金制度は用意しなかったが、中退共に移したという企業はそれなりにあったのだと思います(これも適年廃止の時と同じ)。
なお、昨日の日経に「企業年金、確定拠出が5割超え」という見出しの記事がありましたが、これは「退職年金制度を実施している企業」の中でのDC実施率が5割を超えたということであり、企業全体で見ると上記のように10%を少し超えた程度です(1000人以上の大企業に限って見れば4割超)。
次回は、退職給付の支給額に関する項目について見ていきます。