先月25日、高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)より「定年延長、本当のところ」がリリースされました。JEEDが実施した調査の結果をもとに、定年延長企業における60歳以降の働き方や賃金、定年を延長した理由、定年延長の進め方や効果、課題についてまとめられています。

主なものをピックアップすると、
  • 「60歳以降も仕事内容は全く同じ」が半数強、「責任も全く同じ」も半数近く。
  • 期待する役割の上位3つは「知識・スキル・ノウハウの伝承」「後輩の指導」「担当者として成果を出すこと」
  • 65歳時の賃金水準は59歳時の91.8%。大企業ほど水準が下がる。
  • 約3割の企業では社員全員の人事・賃金制度見直しを実施。
  • 定年延長理由の上位3つは「人手の確保」「元気に働けるから」「優秀な社員に働き続けてもらいたい」。定年延長の効果もほぼこれに対応。
  • 定年延長の提案者は経営陣が圧倒的に多いが、大企業では人事部門の割合が増える。
  • 定年延長にあたって、大企業では退職金や賃金原資が課題。
といったような感じで、定年延長を考えている企業にとっては参考になる内容かもしれません。

このレポートに限らず、JEEDが発信している情報は基本的に「自社においていかに高年齢者を活用し、雇用していくか」という観点で書かれており、それはそれでいいとは思うのですが、実際には高年齢者に活躍の場を用意し、積極的に雇用を確保していくことが難しい企業もあるでしょう。

そうした企業においては、むしろ社員が社外に活躍の場を見つけるための機会を用意し、支援してくことが必要(そのほうが会社にとっても本人にとっても後輩にとっても有益)だと思うのですが、そうした事例、特に成功事例というのはJEEDに限らずあまり見かけることはありません。実際にはなかなか難しいということなんでしょうか。

しかしだからこそ、60歳、あるいはそれより若い年齢で社員が自ら会社を卒業していき、常に新陳代謝が図られている組織の様々な例を示すことができれば、非常に価値あるものになるんだろうと思います。