先日の日経電子版に公的年金の受給繰下げについての記事がありました。

年金受給を繰下げ(最大70歳まで)、及び繰上げ(最大60歳まで)したときの年金額の増減幅のほか、以下のような点についてもまとめられており、繰下げを行うかどうかを考える上でのポイントがほぼカバーされています。
  • 繰下げるときには事前に受取開始時期を決めておく必要はない
  • 後からさかのぼって増額前の年金をまとめて受け取ることもできる(この場合、その後は増額前の年金が支給される)
  • 65歳より前の「特別支給の老齢厚生年金」は繰下げできない
  • 厚生年金と基礎年金の繰下げは別々に選択できる
  • 厚生年金を繰り下げる場合、厚生年金基金からの年金支給があれば基金にも届出が必要
  • 何歳まで生きれば受取総額が増えるかという繰下げ受給の「損益分岐点」
  • 夫婦ワンセットで考え、どちらかが亡くなった後のことも考える
  • 加給年金や振替加算は繰り下げても増額されない
  • 税金や社会保険料の負担により、手取りは額面ほどには増えない
  • すでに遺族年金や障害年金を受け取っている場合は繰下げできない
  • 繰下げしていても(亡くなったあとの)遺族年金は増えない
  • 在職老齢年金による支給停止部分は繰下げしても増額の対象外となる

受給繰下げに関しては、記事タイトルにもあるとおり「お得」かどうか、つまり亡くなるまでの受取総額の大小に焦点があたりがちです。もちろん、それも重要な要素ではあると思いますが、上記のように様々な条件が絡み合っており、何より「何歳まで生きるか」という自分ではコントロールできないものに大きく左右されるので、あまり損得にはとらわれないことが大切でしょう。

重要なのは、リタイヤした後、亡くなるまでの日々の生活費をカバーできるだけの定期的な収入を維持するです。そうした観点から考えると、年金受給開始前の世代は以下のようなアプローチで考えておくのがシンプルで分かりやすいと思います。
  1. リタイヤ後の生活費を賄うのに十分な公的年金の受取額を決める
  2. 1の受取額になる年齢まで受給を繰り下げる
  3. 2の年齢になるまでは必要な収入を自分で確保する
2に関しては、おそらく数年後には70歳以降も繰下げできるようになり、75歳まで繰下げたとすると、年金額は65歳開始の額の2倍程度になると予想されます。
<関連記事>70歳以降の受給繰下げは何%増しの年金になるのか?

3に関しては、働いて収入を得ることはもちろん、退職金や企業年金、個人年金、投資、貯蓄など、色々な手段を組み合わせて確保してくことになります。目標とする年齢が決まっていれば計画も立てやすくなります。

もちろん、実際には計画通りにはいかず、予定していたよりも早く、少ない年金を受け取り始めることになるかもしれません。しかし繰下げすることを前提に考えておくことで、その後の選択の幅が広がり、状況の変化に応じて柔軟に対応することができるようになるでしょう。