なんでこのタイミングなのかはよくわかりませんが、企業年金連合会の年金未払いがNHKの全国ニュースで流れました。

リンク先の記事を読めばわかるとおり、連合会の手違いなどで年金が支払われていないのではなく、住所不明だったりして払いたくても払えない人が大勢いるということです。

年金未払いの問題が広く知られるようになったのは2007年。国の年金記録問題が大きく取り上げられたのをきっかけに、企業年金である厚生年金基金や企業年金連合会にも同様の問題があることが明らかになり、以後問題解消のための取組みが行われるようになりました。

企業年金連合会では毎年、厚生労働省に対して、未払いの状況やそれに対する取組みの状況を報告しており、直近の今年(2018年)7月の報告によると、2018年3月末までに年金を受給する権利を得た人の累計が1064.8万人、そのうち権利を得て5年未満で年金の請求手続きをとっていない人が48.1万人(4.5%)となっています。

権利取得後5年で区切っているのは、請求手続きを行わないまま5年が経過すると時効により権利が失われるためです。NHKのニュースにある未払い人数124.6万人(12%)には時効の5年を過ぎた人も含まれているものと考えられます。

ただ、企業年金連合会では5年経過した人についても時効を援用せず、請求手続きを行うよう促しています(私もこの記事を書いているときに初めて知ったのですが、時効というのはその利益を受ける側、このケースでは企業年金連合会が時効の成立を主張して初めて確定するものであり、この主張のことを法律用語では「援用」というようです)。

したがって、請求すれば受け取れるのに受け取っていない人という意味では報道された124.6万人というのが実態を表しており、362億円というのは1年分の金額だと思われます。未請求のまま何年もたっている人もいますから、未払いの総額はその何倍かになっているでしょう。

企業年金連合会では、国の年金記録を管理する日本年金機構から住所情報の提供を受けるなどして対象者に請求手続きのための書類を送っていますが、転居先不明で届かないケースも多く、また書類が届いても、手続きが面倒等の理由により請求手続きを行わないケースも少なくないようです。

こうした人のほとんどは、以前に厚生年金基金に加入していたものの、短期間で退職して制度を脱退し、少額の年金が企業年金連合会に移された人です(未請求者の半分近くが年金額1万円未満)。厚生年金基金に加入していたという認識すらなかった人も多いかもしれません。

法改正により厚生年金基金制度は原則廃止となり、例外的に残った数基金を除いてほぼすべて解散(もしくは確定給付企業年金へ移行)となりましたが、未払いの問題は(時効を援用しない限り)今後もずっと続くことになるでしょう。

<2018/9/29追記>
企業年金連合会ではインターネットや電話での年金記録の確認を受け付けています。
心当たりがあれば一度問い合わせしてみるとよいでしょう。