つみたてNISAやiDeCo(個人型確定拠出年金)の登場、制度改正をきっかけに、投資信託(特にインデックスファンド)の信託報酬の水準はここ2~3年で大きく低下してきました。この信託報酬、「運用の手数料」などと説明され、運用資産残高に対して一定の率が手数料として差し引かれていくわけですが、この手数料のすべてがその投資信託を運用している会社のものになるわけではありません。

私はSBI証券を運営管理機関とするiDeCoプランに加入しており、積立金のおよそ半分を「DCニッセイ外国株式インデックス」という投資信託で運用してますが、この商品を例にとってみると、信託報酬とその内訳は以下のとおりとなっています。
純資産総額に対して年率0.20412%(税抜0.189%)

【内訳(税抜)】
・委託会社 年率0.0845%
・受託会社 年率0.0200%
・販売会社 年率0.0845%
で、この「委託会社」「受託会社」「販売会社」って何なのかということですが、例えていえば、委託会社である「メーカー」が作った商品を、販売会社である「販売店」で購入し、受託会社である「貸金庫」で保管するといった感じでしょうか。

具体的に、この商品の場合でいうと、委託会社は実際にこの商品を運用しているニッセイアセットマネジメント、販売会社は購入窓口であるSBI証券、そして受託会社は(当該商品の目論見書を見たところ)三菱UFJ信託銀行(再信託受託会社:日本マスタートラスト信託銀行)となっています。

ちなみに、SBI証券のiDeCoプランで提供されているすべての投資信託商品の販売会社はSBI証券となっていますが、運営管理機関と販売会社が同じである必要はなく、むしろ運営管理機関に本来求められる役割は、様々な販売会社が取り扱っている投資信託から確定拠出年金の加入者にあった商品を選んでラインナップを構成することにあります。

つまり、通常は投資信託を購入する際には販売会社(証券会社や銀行など)が窓口となりますが、確定拠出年金で投資信託を購入する際には間に運営管理機関が入ることになります。これは、確定拠出年金制度が創設されたときに、投資に不慣れな加入者が適切に運用商品を選択できるよう、設けられた仕組みだと考えられます。

そのほか、運営管理機関には、加入者に対する各商品や確定拠出年金制度の仕組みについての説明、各種手続きの窓口、加入記録等の管理といった役割があり、その対価として、企業型であれば主に企業から、個人型(iDeCo)であれば加入者本人から手数料を得ているわけですが、価格競争により(iDeCoだと運営管理機関の手数料を無料としているところも少なくない)本来の運営管理機関業務の手数料だけでは採算が取れない状況となっています。

その代わりに自らが販売会社となっている投資信託(及び系列の運用会社が委託会社となっている投資信託)を商品ラインナップに揃え、その信託報酬から(同一金融グループとしての)収益を得る形となっています。

すなわち本来の趣旨にはそぐわない実態となっているわけですが、ここまで価格競争が進んでしまって信託報酬も下がってきている中で、厳格に本来の姿を求めていくのは現実的ではないでしょう。結果的に加入者の利益が損なわれていないかどうか、最終的にはそこが重要になってきます。

上記のとおり、SBI証券のiDeCoプランの投資信託商品についてはそのすべての販売会社が自社となっているわけですが、そもそもSBI証券ではあらゆる運用会社の投資信託を幅広く取り扱っており、販売会社をSBI証券に限定しても、必要十分な商品ラインナップを構成することが可能と考えられます。したがって、このようなケースでは全ての商品の販売会社が自社であったとしても、それが加入者の不利益に直結することはなさそうです。

とはいえ、そもそも各商品の販売会社が明らかになっていないケースもある現状では、特に企業型のプランにおいては、運営管理機関や商品ラインアップの評価の観点からも情報の開示を進めることが必要でしょう。