先週、企業年金連合会の「規約型DB意見交換会」に講師として参加してきました。テーマは「高齢者雇用と企業年金」。第1部は既に65歳への定年延長を行っている企業の人事部長より自社の取組についてのご紹介、第2部では社労士の方と私からそれぞれ15分程度のプレゼンを行い、そのあと参加者(規約型DBを実施する企業の人事担当者)との質疑応答という形で進みました。

私が担当したプレゼンのテーマは「60歳以降の退職給付制度設計の考え方」。定年を60歳から65歳に延ばすケースを念頭に、DB(確定給付企業年金)や、DC(確定拠出年金)等も含めた退職給付制度の設計をどう考えるのか、ということについて15分程度お話させていただきました。
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定年延長に伴い、60歳以降のDBの給付の積み上げや支給開始時期をどうするか?
-処遇を60歳前と統一し、シニア社員のモチベーションを高く保つ観点では60歳以降も給付を積み上げ。
-但しコスト増となる点や、それにもかかわらず法令上は給付減額となる可能性がある点に留意。
-コスト増や給付減額を回避するには従前どおり60歳で資格喪失とし、65歳まで給付の繰下げを可能とする方法が考えられる。
-60歳以降も引き続き勤務する社員が60歳時点で一時金受け取りを選択した場合には、税制上退職所得として認められない可能性あり。

DCを活用した60歳以降の退職給付の積み上げ
-DBとDCを併用している場合、60歳以降の給付の積み上げについてはDCのみとする方法も考えられる。
-上記のとおりDBの給付減額を回避するとともに、退職給付債務の増加も抑えられる。
-DBの資格喪失後はDCの拠出限度額が2倍になり、給付設計の柔軟性が増す。

DBで終身年金を設けている場合
-終身年金の場合は、定年延長とともに積み上げ期間を延長したとしても、支給開始年齢の引上げにより開始時点の平均余命が短くなるため、結果としてコスト減となる可能性が高い。
-その減少分を賃金等の処遇改善の原資の一部に充て、トータルでは社員の収入増を確保。
-「人生100年時代」を見据え、さらに踏み込んで終身年金を有期年金(つなぎ年金)化し、公的年金の受給繰下げとあわせて生涯の収入増を提示することも考えてはどうか。

まとめ
-定年延長の際は、賃金のほか、企業年金・退職金や公的年金、雇用保険等他の社会保障給付も合わせた生涯の収入イメージがどう変わるかを提示することが重要。処遇改善の原資を有効に活用し、「できるシニア」がモチベーションを維持しながら安心感をもって働き続けられるように!


…という感じでお話させていただきましたが、その後の質疑応答は企業年金・退職金というよりも、シニア社員の職務や配置、賃金等の決め方をどうするかといった点に集中し、やっぱり人事担当者としての関心事項はまずそこですよねーということを改めて実感した会でした。

ただプレゼンについては真剣に聞いていただき、質疑応答も終わりのほうでは企業年金に関する質問も2,3いただきました。リタイアが近いシニア社員にとって、退職給付は賃金と同じくらいの重みをもつ報酬です。定年延長等により処遇の改善を考える場合には、賃金だけでなく退職給付、さらには公的年金等も含めたトータルで考えることが重要だと考えます。