昨日、厚生労働省より2019年度の税制改正要望が公表されました(こちら)。

確定給付企業年金や確定拠出年金などの私的年金制度については、税制優遇を受けている関係上、制度改正にあたって税制改正も併せて行う必要となるケースが多くなります。つまり、税制改正要望に企業年金関係の項目があれば、制度改正が行われる可能性が高いということを意味します。

今回の厚労省からの公表に先立ち、関係団体(全国銀行協会、生命保険協会、損害保険協会、企業年金連合会)からは企業年金に関する税制改正要望がいくつか出されていましたが、結局厚労省からの税制改正要望には企業年金に関する項目はなく、来年度中の制度改正はなさそうです。

ただ、今日の日経1面にあったように、確定拠出年金については加入できる期間(掛金を積み立てられる期間)を現在の60歳から65歳に延ばす方向で今後検討が進みそうです。

ちなみに、企業型に関しては現在でも規約を変更すれば60歳以降も引き続き加入者となることができますが(最長で65歳になるまで)、現在の法律では子会社等に転籍となった場合には(子会社において同様の規約であったとしても)加入を継続することができません。この点について、条件の緩和が検討されるものと思います。

しかし利用者(個人及び企業)にとっても運営管理機関にとっても一番の要望は拠出限度額(掛金の上限)の撤廃、もしくは引き上げる方向での統一でしょう。現在の限度額の設定は複雑極まりなく、利用者にとって分かりにくい(使い勝手が悪い)だけでなく、運営管理機関にとっても利用者への説明や手続きのほか、システム対応の負担が重くなってしまいます。

利用者に対するサービスの向上に割くべき労力や予算をそこに取られてしまうのは、利用者にとっても望ましいことではありません。確定拠出年金の普及・拡大を本気で考えるなら、拠出限度額の見直しを最優先課題として取り組むべきでしょう。