今月(8月)13日、国の年金資産を運用してるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)からESG活動報告が公表されました(こちらに掲載)。GPIFのESGへの取り組みは2015年の国連責任投資原則への署名に始まり、2017年には実際の運用を開始しました。

このような形で活動報告が刊行されたのは今回が初めてであり、今後は毎年定期的に報告が行われる予定です。

ちなみにESGとは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取ったものであり、ESG投資においては意思決定に当たってこれらの観点を考慮することにより、長期的・持続的に利益を獲得していくことを目指しています。

活動報告には、これまでの取組みについての報告のほか、ESG投資の効果測定に関する考え方や分析内容、今後の課題についても書かれています。その中に、ESG投資に対する評価と一般の投資に対する評価の考え方の違いをよく表している一節がありました。
一般の投資においては、市場平均(TOPIXやMSCI ACWIなどのベンチマーク)や競合他社をどれだけアウトアフォームしたのかが、評価の中心となりますが、GPIFのESG投資は多角的な評価が必要となります。例えば、ESG指数に基づくパッシブ運用の場合、GPIFが採用したESG指数を意識し、当該指数に組み入れられたいと考える企業が多ければ、指数に採用されていない企業群のほうがESG評価の改善率が高くなることも十分に考えられます。むしろGPIFはそれを期待しているのです。
一般の投資においては、投資先からのリターンそのものが評価や選定においての基準となりますが、ESG投資はそれにとどまらず、投資対象外となっている企業への波及効果も評価の対象となるということです。

これは、巨額の資金を市場全体に対するインデックス運用に振り向けている(振り向けざるを得ない)GPIFにとって、重要な意味を持ちます。ESG投資がねらい通りの効果を発揮すれば、年金資産全体の長期的・持続的なリターン向上に結び付いていくからです。

ESGについては、スチュワードシップ活動とあわせ、確定給付企業年金においても運用ガイドライン(厚生労働省通知)の改正により運用受託機関の定性評価項目とすることを検討することが望ましいとされましたが、実際の評価にあたっては、ESG投資が上記のような側面を持っていることを理解しておくべきでしょう。