先週、人事院より国家公務員の定年を65歳に引き上げるよう求める意見書が提出されました。

人事院は公務員の人事政策の企画・立案を行う機関であり、今回の意見提出を受けて政府内で法律の改正案を検討、それが国会に提出されて法案が可決されると定年引上げが実現することとなります。

今回提出された意見書には具体的なスケジュールは書かれていませんが、公務員の定年が引き上げられると民間企業における定年年齢の下限についても現在の60歳から引き上げる動きが出てくるかもしれませんね(ちなみに、定年年齢の下限については高年齢者雇用安定法に定められています)。

では、人事院が提出した意見の内容はどうなっているのか、これまでの経緯も含め、こちらに掲載されている資料から見ていくことにします。

定年の引き上げをめぐる経緯

人事院が公務員の定年引上げの意見を提出したのは今回が初めてではなく、2011年にも定年を段階的に引き上げるとする意見を出しています。

しかし、このときは「当面、年金支給開始年齢に達するまで希望者を原則として常勤官職に再任用すること」が政府において閣議決定され、定年の引上げについては改めて検討することとされました。民間企業のほとんどが定年後再雇用の対応を取ったのと同じですね。

その後、2017年に入って政府において具体的な検討を進めることが閣議決定され、検討会にて論定整理が行われ、それを踏まえて今後は政府のほうから人事院に対して定年引上げの検討要請がなされました。

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その結果提出されたのが今回の意見書であり、今回は定年引上げに向けた法案可作業が実際に進む可能性が高いと考えられます。

60歳以降の給与水準は7割に

意見書によると、60歳を超えて引き続き同一の職務を担う場合でも、給与水準については、当面、60歳前の7割とするとされています。この水準は、賃金構造基本統計調査(厚生労働省)より、民間企業における60歳代前半の正社員の給与水準が50歳代後半の7割程度であることをもとに設定されています。

また、定年引上げと同時に、新陳代謝を確保するため60歳での役職定年を導入することとしており、60歳前に管理職であった場合は、給与水準は5~6割になる場合もあるということです。

本来は、職務が変わらないなら給与水準は維持されるのが望ましいとしつつも、そうなると60歳前の給与カーブについても見直しが必要となることから当分の間の措置として給与水準の引下げを行うとしており、日本企業の現状を追認している内容であるとも言えます。

早期退職の支援も検討

定年の引上げは、シニアに活躍の場を提供する一方で、若手・中堅の昇進・昇格の機会を奪うことにもつながりかねません。これに関しては、役職定年の導入に加えて「職員の自主的な選択としての早期退職を支援する必要がある」とし、退職金の加算によるインセンティブや、シニアが公務外でも活躍できるよう、必要な方策を検討するとしています。

以前にこちらの記事で、各企業における高年齢者雇用に対するスタンスとして、大きく「積極雇用型」「限定活用型」「早期排出型」の3タイプに分けることができるだろうということを書きましたが、定年延長が避けられない状況になれば、どれか1つに絞るというよりは、自社の状況を踏まえてそれぞれのコースについての条件を明示し、社員が主体的に選択できるように支援していくことが必要になるでしょう。