(今日から少しの間、記事の作成をお休みします…ということで、数日間はあらかじめ書いた記事を予約投稿していきます。)

企業の退職金(退職給付)制度の設計を行う際には、DB(退職給付企業年金)、DC(確定拠出年金)、中退共(中小企業退職金共済)、退職一時金といった各制度の比較・検討を行うこととなるため、それらをまとめた比較表などは何度も作成したことがありますし、書籍などにも書いてあったりします。

一方で、個人のリタイアメントプランとしての様々な資産の積立手段を、複数の観点から比較・検討してまとめたものはあまり見かけないように思います。というわけで、この機会にそのへんをまとめてみることにします。

会社員のリタイア後に向けた積立手段にはどんなものがあるか

とは言っても個人にとっての積立手段を網羅的にカバーするのは大変なので、会社員が利用できて定期的に資金を積み立てる仕組みが備わったものを対象に考えていくことにすると、主に以下のような制度や商品をあげることができます。
  • 定期預金の自動積立
  • 財形年金貯蓄
  • 個人年金保険
  • iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)
  • つみたてNISA
  • 従業員持ち株会

これらについて、誰(対象者は?)が、どこ(窓口となるところは?)で利用できるのかをまとめたのが次の表です。
1

若干補足しておくと、会社によっては社内預金の制度を設けており、会社に申し込めば給与天引きにより自動積立が可能です。私が社会人になって初めて利用した積立制度も社内預金です。なお、社内預金は会社への貸付となるため、税金等の取り扱いについては銀行預金とは異なります(詳しくは次回以降)。

個人年金保険についても、保険会社が企業と契約してその企業の従業員向けに商品を提供しているケースがあり、やはり加入の申し込み窓口は会社となります(こちらはあくまで保険商品の1つなので、税金等の取り扱いは個人契約の場合と同じ)。

また、iDeCoに関しては、会社で実施している企業型の確定拠出年金に加入している場合は利用できない場合がほとんどですが、その代わりに自分の給与から掛金を上乗せしたり(マッチング拠出)、給与の一部を企業型確定拠出年金の掛金に振り替えること(選択制)ができるケースもあり、iDeCoに加入するのと同じような効果があります。

では、これらの制度や商品にはどのような違いがあるのか?次回以降いくつかの観点から比較していくことにします。