今週7月24日、確定拠出年金に関するパブリックコメント5本の結果が公示され、関連する省令や通知が公布、発出されました。

<運営管理業務の兼務規制緩和に関する改正>

<運営管理機関の評価に関する改正>

結論としては、法令解釈通知の一部に細かな表現の修正があったくらいで、基本的には公表時の案から変更はありません。

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上の関連記事にあるとおり、運営管理機関の評価に関しては私も意見を出してみたのですが、そのうち「各運用商品に対する公正な評価結果を加入者に対して明確に伝えることは行為準則における禁止行為に当たらないことを明示しておくべき」という意見に対しては、以下のような回答がありました。
事業主による確定拠出年金運営管理機関の評価の結果の加入者等への開示が事業主による特定の運用の方法の推奨に当たらないと考えられる旨、厚労省ウェブページで公表しているQ&Aにおいて、明確化する予定です。
これについては「ダメなものはダメ」と言えるようにはっきりと書いておいてほしいところですね。

そのほか、今回の結果の公示により明らかになった(明確になった)点を以下にまとめておきます。

運営管理業務の兼務規制緩和に関する事項


■運営管理機関でない受付金融機関の業務範囲

 今回の兼務規制緩和は運営管理機関の営業職員を対象としたものであり、運営管理機関としての登録を行っていない受付金融機関では、そもそも運用商品の説明はできない。例えば、イオン銀行はiDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の受付金融機関であるが、商品説明は運営管理機関であるみずほ銀行が行うべき業務となる(実際には、現状はコールセンターで対応)。

■ランキング形式での商品の提示

 運用実績及び手数料について、(商品ラインナップにある)全ての運用商品のランキングを示すことは情報提供として認められる。一方で販売実績に基づくランキングを示すのは適当ではない(多くの人が選択している商品が必ずしも良い商品とは言えない)。
 なお、運用実績や手数料のランキングを示す場合には、恣意的に1つの項目のみを示すのではなく他の項目についても併せて示すよう、また、運用実績を示す場合には、期間はできるだけ長期とすべきであり、特定の運用の方法が有利となるように恣意的に期間を選択することのないよう留意すべき。

■運営管理機関の体制整備に係る検証基準

 一律に基準を示すことはできないが、少なくとも法令を踏まえ、それに反する行為が行われていないかを事後的に確認できるような証跡を残し当該証跡を確認することや、過去に選定した運用の方法が現時点でも適切であるか等を確認すること等が考えられる。
 また、どんなに規模の小さい確定拠出年金運営管理機関であっても少なくとも1年に1度は検証を行う必要があると考えられ、確定拠出年金運営管理機関の業務内容や職員の知識の程度、営業職員による情報提供を行う場合等は頻度を増やす等、リスクに応じた頻度を確定拠出年金運営管理機関自身が判断する必要がある。

運営管理機関の評価に関する事項


■「少なくとも5年ごとに」の起点

 改正法の施行日である2018年5月1日から5年以内(2018年5月1日より後に企業型DCを開始する事業主は開始日から5年以内)に評価を行うよう努める必要がある。

■運用商品の公表に関する比較可能性の確保

 厚労省ウェブページで公表しているQ&A等を通じ、表示内容や書式を明確化し、わかりやすい記載を求めていく予定。


運営管理業務の兼務規制の緩和と態勢整備、及び運用商品の公表は来年(2019年)7月1日の施行となっており、各運営管理機関においては、これらに対する対応方針を策定し、準備を進めていくことが求められます。