私が毎日チェックしているサイトの1つ、@人事に、昨日「人材確保のための退職金制度」というコラムがアップされていました。

多くの企業で設けられている退職金制度を設置、拡張することは人材確保のための施策の1つと捉えることができるとしたうえで、いくつかある退職金制度のなかで近年主流となっている確定拠出年金について、その概要を紹介する内容となっています。

私も退職金制度は人材確保に役立つものだと思いますし、もしこれから新たに退職金制度を作る(あるいは拡充する)のなら、確定拠出年金は少なくとも検討の対象には入れておくべきだと思いますが、本当に人材確保に役立てるためには、制度を導入することよりもむしろその後の従業員コミュニケーションが重要になります。

例えば、採用面接の際に、退職金がいくら出るかを説明している企業はどれくらいあるでしょうか。社員が昇格したときに、給料だけでなく、退職金も増えていることを明示している企業はどれくらいあるでしょうか。

上記コラムでは確定拠出年金のメリットとして「ポータビリティ」「長期運用」「税制優遇」の3つがあげられていますが、人材確保につなげるためのコミュニケーションという観点で考えると、退職金でありながら給料と同じように毎月掛金が個人の口座に入り、本人の残高がいつでも明確になっていること、すなわち従業員が報酬として実感しやすいことが特徴であると言えます。

確定拠出年金を実施する事業主には、加入者である従業員に対して継続的に「投資教育」を実施する法令上の努力義務が課せられていますが、これを罰則規定のないただの努力義務と捉えるのか、退職金制度の意義を伝えるための貴重なコミュニケーションの機会と捉えるのかで、人材確保としての機能には大きな違いが出てくるでしょう。

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