厚生労働省では毎年「就労条件総合調査」というのを行っており、今年は、調査項目に退職給付に関する項目が盛り込まれる5年に1回の年にあたります。調査は2017年12月から2018年1月にかけて行われており、結果の公表は2018年10月頃の予定となっています。

調査票の様式はこちらのページに掲載されており、ざっと見た感じでは、退職給付に関する調査内容は前回(2013年)から変わっていなようですが、その中に普段見かけないワードがあることに気がつきました。「退職一時金の保全措置」です。

一般に、退職一時金とは、退職金(退職給付)のうち、企業年金等による外部積立を行っておらず、退職時に会社から直接支給する一時金のことを指します。したがって、退職一時金については保全措置は特に行われていないというのが通常です。

しかし実は賃金の支払の確保等に関する法律の第15条において「退職手当の保全措置」について定められており、以下のような保全方式及び保全額により保全措置を講ずるよう努めなければならないとされています(ということを私も初めて知りました)。

■保全方式…以下のいずれか(詳細は調査票に説明あり)
  1. 保証方式
  2. 信託方式
  3. 質権、抵当権設定方式
  4. 退職手当保全委員会方式
■保全額…以下のいずれか(詳細は調査票に説明あり)
  1. 自己都合退職見積額の1/4相当額
  2. 中小企業退職金共済制度による支払相当額
  3. 労使協議で定めた額

ということなんですが、あくまで「努めなければならない」という努力義務に過ぎず、罰則規定等はないため、ほとんど実効性はないと言ってよいでしょう。前回の調査でも保全措置を講じていないという回答が83.3%を占めており、そのうち保全措置を講じないことについて労使協定を締結しているのはわずか2.3%に過ぎません。

では保全措置の規制を強化すべきかというと、退職一時金制度を設けるかどうかは各社の任意であり、企業年金等の外部積立制度と違って法人税の優遇措置もないことを考えれば、それはちょっと違うのかなと思います。

「退職金の支払の確保」を進めるためには、やはり外部積立制度をいかに利用しやすい(利用したいと思える)ものにしていくかという観点で考えて行くぺきでしょう。