現在の仕組みを将来的に維持していけるのかどうか、本当に考えなければいけないのは年金よりも医療・介護のほうだということは、これまでも何度か触れているところですが、5月21日に開催された経済財政諮問会議の厚生労働省作成資料において、今後の社会保障給付とそれに応じた保険料の見通しが示されました(資料はこちらに掲載)。

「2040年には社会保障費が1.6倍」という結果が新聞でも大きく取り上げられましたが、これについては以下のような記事も出ています。名目の金額ではなく、物価の上昇を考慮した実質で見ましょうということですね。

現役世代の人口が減っていく中で医療費等の社会保障費が増えていけば、当然、保険料負担も重くなるわけですが、厚労省の試算では、2018年と比べた2040年の保険料の増加幅は以下のような見通しとなっています(金額は2018年換算)。

■医療保険
【会社員】保険料率+2.0%程度(月収40万円として会社・本人各+4,000円程度)
【市町村国保(~74歳)】+1,000円程度
【後期高齢者(75歳~)】+2,500円程度

■介護保険
【会社員】保険料率+1.0%程度(月収40万円として会社・本人各+2,000円程度)
【1号(65歳~)】+3,000円程度

給与水準や世代によって金額は異なりますが、月数千円程度の保険料の増加ということになります。

また、社会保障費の半分近くは消費税で賄われており、経済規模を示すGDP(国内総生産)比で見た社会保障費の水準は1.11倍程度になると見込まれていることから、単純に考えれば消費税率も1.11倍、つまり1%程度引き上げる必要があるということになります。

保険料・税金とも負担増は負担増ですが、社会保障の仕組みの維持ができなくなるというほどではありません。

一方で、より深刻ではないかと思わせるのが「医療福祉分野における就業者の見通し」です。2018年は823万人、就業者数全体に占める割合は12.5%であるのに対して、2040年の見通しは1,065万人、就業者数全体に占める割合は18.8%となっています。

この数字は基本的に需要に応じて計算された額であり、医療・介護サービスを必要とする人が必要なサービスを受けるために確保しなければならない要員であると考えてよいでしょう。しかしこれだけの要員を実際に確保することはできるのでしょうか?

今後、機械化による労働力の代替、医療・介護職の養成や待遇改善、外国人の活用など、様々な施策を実施していく必要があり、そのための財源も確保していく必要があるでしょう。

保険料や税金の負担増はできれば避けたいところですが、重要なのは必要な医療・介護が受けられる体制が維持できるかどうかという問題であり、多少の負担増でそれを解決できるのであれば、それはむしろ進んで受け入れるべきであると考えます。