5月28日、信託協会等がとりまとめた2018年3月末時点の企業年金の受託概況が公表されました(信託協会のリリースはこちらに掲載)。

確定給付企業年金(DB)の加入者数は前年比+83万人901万人、企業型確定拠出年金(DC)の加入者数は前年比+58万人650万人となりました。2012年3月末からの推移は以下のとおりとなっています。
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DCの増加傾向はこれまでと変わっていませんが、DBはずっと800万人前後で推移してきたのが今回いきなり900万人に到達しました。一瞬数字を間違えたかと思いましたが、これは厚生年金基金からDBへの移行(代行返上)が進んだことによるものと考えられます。

厚生年金基金はAIJ事件をきっかけとした2014年の制度改正により、5年の経過期間を経て原則廃止されることとなりました。例外的に8基金は存続予定となっていますが、2014年3月末時点で531基金あったうちの多くは2016年度までに解散し、一部の基金は代行返上によりDBに移行しています(2017年度は33基金が代行返上)

厚生年金基金の加入者はこの1年で139万人から57万人へと82万人減少しており、このうち何割かが新たにDBの加入者になったものと考えられます。したがって、今回のような加入者の急増は基本的に2017年度限りと考えてよいでしょう。

それ以外の増加要因としては、以前に「税控除をフル活用した月100円の退職金」の記事で紹介した給与との選択制DBのような仕組みが徐々に広がっているのかもしれません。本来想定されているのDBの形とは異なりますが、これまで退職給付制度から外れていた非正規社員も取り込みやすい仕組みになっており、加入者の増加につながるものだといえます。

そのほか、定年延長などにより加入者の範囲が60歳以上にまで広がっていくと、その過程において加入者が増えていくことになります。こうした点を考慮すると、DBの加入者は大きくは増えないものの、当面はその数をあまり減らすことなく推移していくことになりそうです。