制度改正があった2017年以降、iDeCo(イデコ、個人型確定拠出年金)の加入者は急激に増加し、今年中には100万人を突破しそうですが、実際に加入者を大きく増やしている運営管理機関は一部に限られ、運営管理機関間の格差は広がっているようです。

営業職員の兼務規制の緩和や運用商品の公表など、一連の制度改正への対応によって、企業型確定拠出年金も含めてその傾向は強まり、将来的には運営管理機関の淘汰が始まるかもしれません(運営管理業務は収益性が低い割には非常に多くの金融機関が参入している)。

そうなると、自社で運営管理業務は受託しないものの、個人顧客向けのサービスラインナップとしてiDeCoを揃えておきたい金融機関は、受付業務のみを行う受付金融機関となり、委託元の運営管理機関のプランを取り扱う代理店の役割にシフトしていくことになるかもしれません。

現に、イオン銀行などはそのような立場にあり、運営管理業務はみずほ銀行に委託しています。提供しているプランの商品ラインナップは独自のものとなっていますが、これはみずほ銀行がイオン銀行用にカスタマイズして提示しているものです。

現在のところ、受付金融機関と運営管理機関が異なるプランは全部で234件あり、そのうち143件については委託元の運営管理機関が東京海上日動火災保険となっています。下記のとおり、2番目に多い損保ジャパン日本興亜DC証券に大差をつけています(イデコ公式サイトの運営管理機関一覧より集計)。
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しかしこれは必ずしも「東京海上のiDeCoプランが個人顧客にとって魅力的だから」ということではなく、企業型確定拠出年金における提携関係がそのままスライドしているだけだと思われます。中途退職により企業型から抜けた社員に対する受け皿として、同じ東京海上のiDeCoプランを用意しているということです。

今後個人顧客に対してよりよいプランを提供できるようにしようと思うなら、受付金融機関は複数の運営管理機関のプランの中から、顧客のニーズにあったプランを提示できるようにする必要があるでしょう。乗合代理店ならぬ乗合受付金融機関です。

現状でも複数の運営管理機関のプランを扱う受付金融機関はありますが(例えば三重銀行は東京海上と三井住友海上の2プランを取り扱っている)、ごく少数であり、また個人顧客に対してよりよいプランを提示するためというよりは他の取引関係によるところが大きいでしょう。

金融庁が掲げ、各金融機関が採択している「顧客本位の業務運営」を徹底すれば、受付金融機関による運営管理機関の選別も進むはずだと考えますが、さてそのような動きは今後出てくるのでしょうか?