昨日の記事に書いたとおり、今回のパブリックコメントで示された企業型DCの運用商品の公表等の改正案は、商品ラインナップを巡る現状の問題を改善させる契機になり得るものですが、実効性の確保という点では必ずしも十分ではないと考えます。

ではどんな点が必要となるのか、以下4つの項目にまとめてみました。

事業主からの報告・説明を求める
法改正により、事業主には運営管理機関の評価を行う努力義務が課されたわけですが、あくまで”努力義務”であり、強制力を伴うものとまでは言えません。より実効性を担保するという意味では、今回示された基準に沿って評価を行った結果の報告、もしくは評価を行わなかった場合はその理由についての説明を事業主に求める、というも1つの考えだと思います。

適正な運営管理業務の委託手数料
商品ラインナップの問題の背景には、事業主が運営管理業務を委託するにあたって運営管理機関に支払うコストが過剰に抑えられ、それを穴埋めするために運用商品の信託報酬が利用されている側面があります。もちろん、業務の効率化によりコストを削減する努力は求めたいところですが、加入者に負担が転嫁されることのないような設定にしておく必要があるでしょう。

加入者の啓蒙や従業員代表・労働組合にする支援
従業員や労働組合が十分な知識と情報をもとに改善を要求すれば、事業主は対応せざるを得ないでしょうから、啓蒙・教育活動への取り組みも重要になります。ただこれについては一朝一夕に進むものではないため、学校での金融教育等も含めた息の長い取り組みが必要になると思います。

運営管理機関や商品の変更のしやすさ
上記3つについては「評価の実施」の実効性に関わるものですが、評価が適切に行われたとしても、その結果として運営管理機関や商品が実際に見直されないのでは意味がありません。この点、運営管理機関や商品の変更には事務手続き上の障壁が大きいため、いかにこれを緩和していくかも重要であると考えます。
<参考記事>確定拠出年金の運用商品ラインナップを一新する方法