先日こちらの記事に書いた確定拠出年金(DC)の運用商品の説明等に関する規制の緩和について、下記のとおり省令、通知の改正案が公表されました。
施行日は来年(2019年)7月1日となっています。

改正内容については基本的に上記の記事で紹介した企業年金部会で示された案のとおりとなっていますが、改めて内容を整理しておきたいと思います。

解禁される行為
  • (DCの専任でない)運営管理機関の営業職員がDCの加入者(※)に対して商品ラインナップを提示したり商品についての説明を行うこと。
※運用指図者を含む。以下同じ。

引き続き規制される行為
  • (DCの専任でない)運営管理機関の営業職員が商品ラインナップの選定に関わること。
  • 加入者に対して特定の商品で運用すること(またはしないこと)を推奨すること。
※なお、加入者から特定の商品についての説明を求められた際、商品の一覧を示したうえで一部の商品について情報提供を行うことは、禁止行為である「特定の商品の推奨」には当たらないものとされた。

解禁にあわせた追加対応項目
  • 運営管理機関においては、社内規則の整備や研修の実施などにより、適切な業務運営を行うための十分な体制を整備すること。
  • 顧客が加入者となる時点において、運用商品についての情報提供が行われている必要があること。また、加入前の者に対して行為準則に反する行為が行われることにより、その者が加入者等となった場合、その加入者等の権利が侵害されることのないよう留意すること。
  • (DCの専任でない)運営管理機関の営業職員による(または同席のもと)商品についての説明を行う際には、加入者の誤認を防ぐために、少なくとも「DCの運営管理機関として情報提供を行うこと」「特定の商品の推奨が禁止されていること」を説明すること。
  • 個人型(iDeCo)の運用管理機関においては、運用商品の選定理由及び各商品について加入者に提供している情報を一覧できるように取りまとめて記載し、インターネットで公表すること。また、少なくとも毎年1回、変更があったときには変更後の情報を公表すること。
※企業年金部会で言及のあった企業型の運用商品に関する情報公開に関しては、今回の改正案には盛り込まれず。今後、事業主による運営管理機関の評価の基準等とあわせて具体案が示されることになると思われる。

<2018/5/23追記>
企業型についても5/21にパブリックコメントが出ました。詳しくはこちら
<追記終>

なお、営業職員が支店等の窓口でiDeCoへの加入の勧誘を行ったり、加入の申し込みを受け付けること、また制度や運用についての一般的な説明を行うことについては、これまでも禁止されてはいませんでしたが、兼務規制がネックとなって、上記のような対応も含めて窓口での対応が限られていた面はあるでしょう。

兼務規制の緩和により、今後窓口での対応が広がる可能性がありますが、そのためには上記のとおり営業職員に対する研修等の体制整備が求められるため、対応のレベルについてはこれまでよりも運営管理機関による差が大きくなるだろうと思います。
各運営管理機関が手数料や商品ラインナップだけでなく、顧客対応面でも十分に競えるようになることで、加入する側にとって選択の幅が広がり、加入者層の拡大にもつながることを期待したいと思います。