退職金制度に関する統計の1つに、中央労働委員会(厚生労働省の外局)が隔年で実施している「退職金、年金及び定年制事情調査」があります。

調査の目的は「争議の解決に向けて行うあっせん・調停等の参考として利用するための情報を収集すること」とされており、調査対象は資本金5億円以上、労働者1000人以上に該当する企業の中から独自に選定した380社で固定されています。基本的には、大企業で、かつ社歴の長い企業が調査対象になっていると考えてよいでしょう。

先月末に2017年の調査結果が公表されたので、前回の2015年調査との比較で退職金の水準がどうなったのか、見てみました。

<男性、新卒入社、定年退職者の平均退職金額>
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大卒はさほど変わっていませんが、高卒は200万円以上も下がっています。サンプル数がさほど多くないので(集計対象は2015年が78社、2017年が76社)、対象の入れ替わりなどによる影響もあるのかもしれませんが、ちょっと気になるところです。

今年は、退職金の統計としては最もサンプル数の多い就労条件総合調査の年なので、そこでどういう結果が出るのか注目したいと思います。

また、中央労働委員会の調査では定年制や継続雇用制度についても調査を行っており、それによると95%以上の企業は60歳定年制を採用、また定年制のある企業のうち98%以上は再雇用制度を採用しています。そして、定年後再雇用時の労働条件等については以下のような結果となっていました。

<再雇用時において最も多い雇用・就業形態>
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前回同様、最も多いのが嘱託社員、次が契約社員で、この2つで大半を占めます。ちなみに、契約社員と嘱託社員、呼び方は異なりますが本質的な違いはありません。

<再雇用時の所定労働時間>
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嘱託や契約社員になっても、定年時と同様にフルタイムで勤務するケースが大半を占め、その割合は前回よりもやや高くなっています。

<再雇用時の基本給の時間単価>
4
所定労働時間については定年時と変わらないケースが大半だったのに対して、前回同様、基本給の水準が変わらないという回答は皆無であり、80%以上という回答もほとんどありません

<定期昇給>
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再雇用者にはほぼ昇給がないという結果になっており、その割合は前回よりも若干増えています。

<一時金(賞与)>
6
賞与については低い水準ながらも支給している割合が6割を超えていますが、約2割については支給なしとなっています。同じ水準を支給しているところは非常に少ないです。

というわけで、あくまで今回の調査対象に関していえばということですが、60歳以降の雇用については法的義務からやむなく雇用しているという状況(いわゆる福祉的雇用)が続いているように見えます。しかし多くの企業ではバブル入社世代が今後60歳を迎えていくことになるため、対象者の増加にどう対応していくのか、考えていく必要があるでしょう。