今年3月に書いたこちらの記事で紹介した月刊誌「エルダー」の2018年5月号に、65歳以上に定年を引き上げた企業に対する調査結果報告が掲載されていました。調査は2017年12月から2018年1月にかけて行われ、1840社からの回答があったということです。以下、その調査結果について紹介していきます。

定年を引き上げた理由

定年を引き上げた理由について、複数回答で尋ねた結果のベスト3は以下のとおりであり、この3つだけが50%を超えていました。
  1. 人手の確保
  2. 60歳を超えても元気に働ける
  3. 優秀な社員に引き続き働いてもらう
定年引上げを実施した企業の属性を見ると、業種に関しては医療・福祉系や運輸業、人数規模に関しては小規模企業の割合が相対的に高く(正社員数100名以下の企業が約8割)、また8割以上の企業が人手不足状態にあると回答しており、やはり人手の確保が課題となっている企業から定年引き上げの対応が進んでいるようです。

なお、定年引上げを提案したのは8割弱が社長などの経営陣、2割強が人事部門ということで、トップダウンにより実施した企業が多くなっています。これについては、小規模企業の割合が高いことも影響しているものと思います。

60歳以上の処遇

60歳以上の働き方については、59歳までと仕事内容は全く同じという回答が5割強、59歳までと責任は全く同じという回答が5割弱ということで、定年を65歳以上に引き上げた企業でも約半数は60歳を境に仕事内容や責任の見直しを行っているという結果になっています。

これに伴い、60歳以上の賃金について59歳以前と変わらないとする企業は6割程度(社員数300人超の企業では5割程度)となっており、定年を引き上げたからといって必ずしも59歳までと同じ賃金を支給しているわけではないことが分かります。

それでも、65歳時の賃金水準を59歳時の7割以下としている企業は10%台に過ぎず、60歳での定年後再雇用を行っている企業よりは高い賃金水準になっています。

定年引上げの効果

定年を引き上げた効果については9割以上の企業が「満足」または「やや満足」と回答しており、具体的な効果のベスト3は以下のとおりとなっています(いずれも「大いに効果があった」「ある程度効果があった」が7割超)。
  1. 人手を確保できた
  2. 優秀な社員に引き続き働いてもらうことができた
  3. 遠慮せずに戦力として活用できるようになった
上記の「定年を引き上げた理由」にほぼ対応する効果が得られたことが、高い満足度につながっているのでしょう。

また、「若手・中堅社員が高齢社員を戦力として見るようになった」「社員全体のモチベーションが上がった」という回答も5割を超えており、高齢社員にとどまらず、会社全体への好影響を実感している企業も多いようです。

一方で、「新卒・中途採用を有利に進められた」という回答は3割に届いていません。人材確保という観点では、定年引上げは若手・中堅を含む社員の定着には効果を発揮しているが、新規採用への効果は限定的というのが今のところの評価のようです。