前から少し気になっていたことの1つに、所得水準は健康状態や寿命にどれくらい影響しているのか?というのがあったのですが、検索してもそうした調査結果というのは意外と出てきません(見つけられてないだけかもしれませんが)。

しかし、先日厚生労働省から2015時点の市区町村別の平均寿命が公表されたというニュースを見て、この結果と市区町村別の平均所得をかけ合わせれば傾向が見えてくるのではないか?ということで、実際にやってみました。

平均所得のほうは、とってこれたデータが2013年度の納税義務者一人当たり課税対象所得ということで、少し時点はずれていますが、平均所得も平均寿命も短期間に大きく動くものではありませんので、関係性を見るのに大きな問題はないでしょう。

全国1740市区町村の平均所得(千円単位)を横軸、平均寿命(男女別)を縦軸にとってプロットしたのが以下のグラフです。
1

男女とも、右に行くほど(所得が高くなるほど)平均寿命の分布が上の方(長生き)に収束していく傾向が読み取れますね。

平均所得を500千円ごとに区分して、各区分における平均寿命の1歳ごとの分布の割合と平均をまとめると、以下のようになります(平均所得が2,000千円未満及び4,500千円以上の区分はサンプル数が少ないため除外)。

<男性>
3

<女性>
4

これを見ると、特に男性は所得水準が高い市区町村ほど平均寿命が長くなる傾向がはっきり表れています。平均所得が500千円上昇するごとに、平均寿命は約0.4年伸びています(ただ最初のグラフを見る限り、平均所得が4,500千円を超えるとそれ以上は寿命はあまり伸びていません)。

この結果を妻に話したところ、
「一定年齢以上で所得の低い男性は独身である割合が高い」
→「独身男性は身の回りのことがしっかりできていないケースが多い」
→「健康状態を悪化させやすく、死亡率が高くなる」
という意見が返ってきました。たしかにそういう面はあるのかもしれませんね。

調べてみたところ、市区町村別の有配偶率のデータもありそうなので、平均所得と有配偶率、有配偶率と平均寿命の関係についても、後日改めて見てみたいと思います。

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