シニア社員の雇用に関して、できるだけ対象者を絞り込みたいという企業においては、早期退職優遇制度により退職金を加算するという施策が考えられるわけですが、実際にそうした制度を利用して退職する人はどれくらいいて、どれくらいの金額が上乗せされているのでしょうか。

少しデータは古いのですが、2013年の就労条件総合調査(厚生労働省)をもとに読み解いてみました。なお、データはe-Stat(政府統計の総合窓口)のこちらのページからダウンロードできます。

自己都合と同じくらいいる早期優遇の退職者

退職給付制度(退職金制度や企業年金制度)がある企業において、勤続20年以上かつ45歳以上の退職者の退職事由別の割合は、次のとおりとなっています。
  • 定年:58.3%
  • 会社都合:9.2%
  • 自己都合:16.9%
  • 早期優遇:15.6%
長期勤続者を対象とした集計なので定年退職者が多いのは当然として、それに次ぐ事由が自己都合と早期優遇で拮抗しているというのは新たな発見でした。早期退職優遇制度を利用して退職する人というのは割と多いんですね。

ただ早期優遇の割合は、以下のとおり企業規模(従業員数)によって大きな違いがあります。
  • 1000人以上:20.9%
  • 300人以上1000人未満:16.2%
  • 100人以上300人未満:3.9%
  • 30人以上100人未満:1.7%
従業員数が300人を超えたところから急に割合が増えていますね。特に従業員1000人以上の製造業では、早期優遇が27.7%と4人に1人以上の割合になっています。

早期優遇の加算金は50歳代前半で月収の2年分

退職給付の額を月収換算し、勤続年数の階層別に定年と早期優遇の場合の水準を比較したのが下のグラフです(大学卒のケース)。
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勤続年数が25~29年のところで差が最も大きくなっており、定年を事由とする退職と比較して、退職時の所定内賃金のおよそ24ヶ月分、つまり2年分の金額を加算している計算になります。入社年齢を23歳とすると退職時年齢は50歳前後ということになります。

勤続年数が30~34年(年齢でいうと55歳前後)のところも差は22ヶ月と2年近い水準となっていますが、35年を超えて定年(60歳)直前になると差は10ヶ月程度にまで縮小しています。大企業では55歳前後で役職定年を設けているケースが多く、役職定年時、あるいはその少し前に退職した場合に最も多く上乗せする設計が多いと考えられます。


厚生労働省による就労条件総合調査は毎年行われていますが、退職給付の項目が調査対象となるのは概ね5年おきとなっており、今年(2018年)は5年ぶりの調査となります。これまで早期優遇についてはあまり注目していませんでしたが、今回は高年齢者雇用安定法の改正後の退職者を対象とする初めての調査となり、どのような変化がみられるのか注目したいと思います。

なお、早期優遇といった場合、一般には定年前の退職を指しますが、60歳以降の継続雇用が義務付けれられたことに伴い、再雇用を希望しない定年(60歳)退職者に対して退職金を上乗せする対応を行っている企業も一部にあります。

しかし今回の調査票の記入方式は従来通りとなっているため、残念ながらその動向や実態を調査結果から読み解くのは難しそうです。