先日、JENNIEに掲載されたこちらの記事。

2016年には、100人の人が亡くなったとき、およそ8人の人に納税義務が発生していることが紹介されていますが、配偶者には1億6千万円という非常に大きな税額の軽減措置があることを考えると(詳しくはこちら)、両親がともに亡くなったケースに限定したときには、もっと多くの割合で相続税の納税義務が発生しているものと考えられます。

上記の記事では、相続税を軽減するために、生きているうちに財産を譲っていく「生前贈与」について、いくつかの方法が紹介されています。贈与に関しても「贈与税」がかかり、しかも相続税よりもかなり低い金額(110万円超)から納税義務が発生するのですが、複数年に分けて贈与を行うことで、トータルでは税負担を軽減できる場合があります。

一方で、相続する財産がそれほど多くなく、相続税が発生しない場合には、生前贈与ではなく相続で財産を受け取ることで、税負担を回避することができます。上記の記事にある通り、相続税の基礎控除額は「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」で計算され、一人っ子で自分1人しか法定相続人がいない場合でも3,600万円までは非課税で相続できます。

しかし、例えば住宅を購入するときなど、親が生きている間にまとまった額の資金援助(=贈与)を受けたいケースもあるでしょう。こうした場合には以下のような仕組みを利用することで、贈与を受けつつ税負担を軽減、あるいは回避することができます。

住宅取得等資金の非課税制度
2021年までの間、父母または祖父母から住宅資金の贈与を受けた場合には、110万円の基礎控除とは別に、大きな非課税枠が用意されています。非課税の上限額は、住宅購入の契約日や住宅の種類によって異なり、消費税率が10%へ引き上げられた後は上限額が引き上げられることとなっています(詳細な要件や上限額はこちら)。

相続時精算課税制度
2,500万円を上限として、父母または祖父母(贈与者)から贈与された金額を相続時まで繰り延べ(納税を延期)、相続時にまとめて相続税として納税することができる仕組みです。贈与された金額を合算しても相続する財産の額が相続税の基礎控除額の範囲に収まれば、結果的に非課税で贈与を受けられることとなります(詳細な要件などはこちら)。

なお、相続時精算課税は住宅資金に限らず利用できますが、その場合、贈与者の年齢が60歳以上であることが条件の1つとなっています。住宅資金の場合には、特例として贈与者が60歳未満でも利用することができます(詳細な要件などはこちら)。

両制度の併用
上記2つの制度は併用することも可能です。例えば親から1,000万円の住宅資金の援助を受けた場合、まず「住宅取得等資金の非課税制度」を利用することで700万円を非課税扱いとし、残り300万円について「相続時精算課税制度」により相続時まで課税を繰り延べることができます(詳細はこちら)。


以上のように、住宅資金の贈与については税負担を軽減できる仕組みが用意されていますが、いずれの方法にも共通して注意しなければならないのは、確定申告が必要な点です。贈与を受けた年の翌年3月15日までに、贈与税の申告書に必要書類を添付して税務署に提出する必要があります。

ちなみに、私自身は10年ほど前に住宅を購入した際に相続時精算課税制度を利用しました。だいぶ前のことなので記憶があいまいですが、当時は住宅取得等資金の非課税制度というのはなかったように思います。今なら、相続時に税金を繰り延べる相続時精算課税制度よりも、贈与税そのものが非課税となる住宅取得等資金の非課税制度のほうを先に使ったほうが基本的には有利でしょう。