2016年10月より社会保険(厚生年金保険と健康保険)の加入対象が短時間労働者にも拡大されていますが、事業所(企業や役所)や対象となったパート従業員が実際どのように対応したのか、その調査結果が先日こちらに掲載されました。

(タイトルは『「社会保険の適用拡大への対応状況等に関する調査」(事業所調査)及び「社会保険の適用拡大に伴う働き方の変化等に関する調査」(短時間労働者調査)結果』)

事業所側の対応

まず、社会保険の適用拡大が義務付けられた特定適用事業所(従業員数500人超の企業、及び役所)での対応から見てみると、雇用管理上の見直しを、「行った」「特に行わなかった」「適用拡大の対象者がいなかった」がそれぞれ1/3ずつという結果になっています。

さらに、見直しを行った事業所にその内容を尋ねた結果は、対象者の労働時間を短縮するなどの適用回避策のみをとった事業所が21.7%、対象者の労働時間を延長するなどの適用拡大策のみをとった事業所が15.3%、そして両方とも実施した事業所が47.9%と最も多くなっています。

適用回避策と適用拡大策のどちらについても見直しの理由として最も多かったのは「短時間労働者自身が新たに対象となることを希望しない、あるいは希望するから」となっており、各パート従業員の希望に応じて労働時間の延長や短縮に柔軟に対応した企業が多いことがうかがえます。

従業員側の対応

では、パート従業員側の対応はどうだったのでしょうか。今回の社会保険適用拡大に伴って、働き方が変わったと回答したのは15.8%、今後検討するという回答は22.2%となっています。

このうち、働き方が変わったと回答した第3号被保険者の変化の内容は以下のとおりとなっており、「社会保険の対象とならないよう労働時間を減らした」という回答よりも、「社会保険料等の負担が増えても手取りを維持または増やせるように労働時間を増やした」という回答のほうが多くなっています。
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また、社会保険が適用されるよう、かつ手取り収入が減らないように労働時間を増やした人にその理由を尋ねた結果(複数回答)は、「収入を増やしたい(維持したい)」の44.9%とほぼ並んで「将来の年金額を増やしたいから」が44.3%と多くなっており、保険料の負担が新たに発生しても将来の年金を増やせることのメリットがある程度認識されていることがうかがえます。

一方で、社会保険の適用を回避するために労働時間を減らした人にその理由を尋ねた結果(同上)は、「配偶者控除が受けられなくなるから」「健康保険の扶養から外れるから」「手取り収入が減少するから」の3つが5割前後と多くなっており、それに続いて「配偶者の会社から手当が支給されない恐れがあるから」「加入するメリットがわからないから」がそれぞれ3割近くを占めました。

(所得税の配偶者控除については社会保険の適用とは基準が異なるので直接関係ないように思うのですが…)

社会保険の適用については今後さらに拡大する方向で検討が進められるでしょうが、それに向けては配偶者控除との区別や社会保険に加入するメリットについての理解を促し、各企業における配偶者手当の見直しを進めることも重要となりそうです。