以前「目標積立額を確保した中退共 今後の運営方針は?」に書いたとおり、今年度は5年に1回の中退共(中小企業退職金共済)の財政検証の年にあたっており、今後5年間の財政運営方針についての議論が行われてきました。

焦点となっているのは、「各年度に発生した利益(予定利率以上に稼げた運用収益等)のうち、どれだけを付加退職金(支給額の上乗せ)に回すのか」です。この5年間は、以下のように当年度利益の半分を付加退職金に充てつつも、剰余の積み立てを優先して600億円分を先取りすることとしてきました。
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その結果、この5年間で目標としていた積立水準(3500億円の積立剰余)に到達した一方で、金利がさらに低下したことで運用環境はより厳しくなっています。

1月31日に開催された第68回の部会では、今後の付加退職金の支給ルールについて、前回の会議で出された意見も踏まえ、以下の3つの案が提示されました。
【案1】利益が出ても付加退職金は支給しない(剰余の積み立てを最優先)
【案2】剰余金の積立目標を4,400億円に引き上げ、積立水準が目標に達した場合は当年度利益の半分を付加退職金として支給する。
【案3】剰余金の積立目標を4,400億円に引き上げ、当年度利益の半分を付加退職金に充てるものの、目標までの残額を2020年度までの残り年数で割った額については剰余の積み立てを優先して先取りする。
案3については、例えば2017年度の場合であれば前年度末の積立剰余が3,800億円であるため、当年度利益のうち(4,400億円-3,800億円)÷5年=120億円を先取りして積み立てることとなります(下図参照)。
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開催から1ヶ月近くがたった現在も議事録はまだ公開されておらず、どのような議論が行われたのか詳細は不明ですが、基本的には案3を採用することで了承されたようです。

各年度の利益に対して、その時点の積立状況に応じて、付加退職金に充てる部分と剰余の積み立てに充てる部分が調整されることとなるため、資産運用が順調に推移すれば、目標とする積立水準に対してこれまでよりも過不足なく剰余を積み立てていく方式であると言えます。

ちなみに、4,400億円というのは現在の運用環境等を踏まえて今後5年間で発生する可能性のある最大級の損失額を見込んだものであり、仮にそうした損失が発生したとしても積立不足とならないような水準を目標として財政運営を行っていくというのが基本的な考え方となっています。