2月16日、高齢社会対策大綱が閣議決定されました。この大綱は高齢社会対策基本法に基づき、高齢社会対策の指針として原則5年ごとに見直され、定められているものです。

大綱では、高齢社会対策の基本的施策について、「就業・所得」「健康・福祉」「学習・社会参加」等の6つの分野ごとに指針が定められていますが、このうち国の年金制度に関して定められている部分をピックアップしていきます。

完了した保険料の引上げと調整が続く年金額
基礎年金国庫負担の2分の1への引き上げに続き、予定されていた保険料の引上げが完了したことにより、収入面では、こうした年金財政の仕組みが完成をみたことを踏まえ、今後は、決められた収入の範囲内で、年金の給付水準を確保すべく、長期的視点に立って年金制度を運営していく。
国民年金と厚生年金の保険料は2004年から段階的に引き上げられてきましたが、国民年金については2017年4月、厚生年金については2017年9月が最後の引上げとなり、今後は賃金水準に連動した調整を除き、実質ベースでの引上げはありません。

一方で、マクロ経済スライドによる年金額の調整(物価や賃金の伸びに対する年金額の伸びの抑制)は当面続くことになるため、これをどうカバーしていくかが課題となります。

70歳以降の年金受給繰下げ
年金の受給開始時期は、現在、60歳から70歳までの間で個人が自由に選べる仕組みとなっている。このうち65歳より後に受給を開始する繰下げ制度について、積極的に制度の周知に取り組むとともに、70歳以降の受給開始を選択可能とするなど、年金受給者にとって柔軟で使いやすいものとなるよう制度の改善に向けた検討を行う。
今回の大綱で最も注目されている点が、年金の受給開始を70歳以降にも繰下げできるようにすることです。現在でも70歳までは繰下げ可能であり、この場合年金額は65歳開始の場合と比べて42%増額(1年あたり8.4%)されます。

繰下げを何歳まで可能にし、その場合の増額率をどう設定するかは今後検討されることとなりますが、70歳以降の増額率は65歳からの5年間よりも高くなると予想され、例えば75歳まで繰下げた場合には、65歳開始の年金額の2倍程度になる可能性もあります(詳しくは70歳以降の受給繰下げは何%増しの年金になるのか?を参照)。

厚生年金の更なる対象拡大
働きたい人が働きやすい環境を整えるとともに、短時間労働者に対する年金などの保障を厚くする観点から、短時間労働者の就労実態や企業への影響を勘案しつつ、更なる被用者保険の適用拡大に向けた検討を着実に進める。
2016年10月より、従業員が500人を超える企業では、厚生年金や健康保険の加入対象となる所定労働時間が、週30時間以上から20時間以上に拡大されています。従業員500人以下の企業においても、2017年4月から、労使合意があれば同様に加入対象が拡大されることとなりました。

厚生年金の対象となって保険料を納めれば、加入した期間とその間の収入に応じて老後の年金が増額されます。雇用者であれば、働き方によらず収入に応じた将来の年金を確保できるよう、今後も対象を拡大させる方向で見直しが進められることになりそうです。