内閣府に置かれている規制改革推進会議に「規制改革ホットライン」という、個人や企業から規制や制度の改善について提案を受け付ける仕組みがあり、受け付けた提案に対しては規制や制度を所管する省庁が回答することになっているのですが、その2017年度分の回答が先日公表されました(こちらに掲載)。

厚生労働省が所管する企業年金制度についても、金融機関の業界団体等から出されたいくつかの提案とそれに対する回答が掲載されており、今回は、そのうち制度移行に関するものをピックアップしてみます(内容は短く要約しています)。

【提案】中退共から確定給付企業年金への移行を広く認める
【回答】検討を予定
中小企業退職金共済(中退共)に加入している企業が、中退共を解約してその資産を確定給付企業年金に持ち込むことができるのは、現状では「中小企業でなくなったとき」や「他の企業と合併したとき」などに限られています。

新規の掛金を凍結することもできないので、退職金制度の改定等に伴って中退共をやめたい場合は解約して従業員に解約手当金を分配するほかありませんが、退職所得とは認められず、税制上のデメリットが生じます。

これは実際に制度設計のコンサルティングをやっていても非常に不便に感じるところですね。確定給付企業年金だけではなく、確定拠出年金への移行もケースを限定せずに認めてもらいたいところです(参考記事:入るのは簡単だが抜けるのは難しい中退共)。

ただそうなると中退共を解約しやすくなる面もあるので、制度を運営している(独)勤労者退職金共済機構からは抵抗があるかもしれませんね。

【提案】確定給付企業年金から確定拠出年金への一部移行について、対象者の半数超が一時金の受け取りを希望しても制度移行を可能とする
【回答】検討を予定
これについてはそうしたケースに遭遇したことがなかったのであまり認識がなかったのですが、制度移行に伴い確定給付企業年金の資産の一部を確定拠出年金へ移す場合においては、対象者のうち制度移行に同意しない者に限ってその資産を(確定拠出年金に移さずに)一時金として受け取ることが認められています。

しかし、一時金での受け取りを希望する者が過半数を占める場合は結果的に過半数が制度移行に同意しないこととなってしまい、制度移行自体が実現できなくなります。「一時金での受け取りを前提に制度移行自体には同意する」という意思が反映されない仕組みになっているのは確かに不合理ですね。

ただ、以前は同様の要望に対して「検討に着手」という回答となっていたのが、今回は「中長期的な課題として検討を予定」となっており、やや後退している印象を受けます。